今さらながらのバラク・オバマ大統領誕生

4日、アメリカ大統領選挙バラク・オバマが当選した。なによりも自分の生きているあいだに黒人の大統領が選出されるという現実に直面して戸惑いすら覚えている。時代がこれほどまでにドラスティックに変化していくことを目の当たりにしたのだからね。
個人的には僅差でマケイン勝利みたいな予測をたてていた。黒人大統領が選出されるほど人種融合が進んでいるか、アメリカはそこまで民主的国家として成熟しているか、そんな設問をたてると、なんとなくことごとくノンという感じがしていた。選挙中、オバマの若さ、人柄などに期待感を抱き、変化を熱望した白人層は、保守であれば明確に、リベラル層にしても投票が近づくにつれて次第こんな風に思うようになる。「本当にニガーでいいのか」みたいなことを。そして最終的には白人層の大部分がマケインに投票するのではとみていた。それが良い意味で裏切られた。
選挙中に陥ったアメリカ発の世界金融危機オバマには利点となったようだ。アメリカ国民は、今後大規模な恐慌が訪れるかもしれないという現実を前に、オバマがより有効な対応をしてくれるかもしれないという可能性にかけた。金融危機が現ブッシュ政権の政策に起因していると考えられる部分が多々あるだけに共和党候補には不利になったのだろう。
いずれにしてもオバマの政治家として手腕、能力は総て未知数だ。経験不測を露呈するかもしれない。彼の失敗は向こう50年くらいのアフリカ系アメリカ人の今後の社会進出に影響を与えるかもしれない。でもそれ以前に白人エスタブリッシュメントたちが、あるいはより大多数のプアホワイトの面々が、彼の存在を4年もの長きにあたって許容し続けることができるかどうか。
なにかいろいろな意味で実はアメリカという国が世界に向けて発信した今回の変化を、逆に世界が見守り続けることになるのだろうと思う。長き年月にわたる変化への待望はとりあえず思いのほか急に出現したわけだ。しかし例えば一発の銃声によって一気に数十年くらい退行することもあり得るわけである。
なにはともあれ私が生きている間に黒人の大統領が誕生した。これはとてつもなくすごいことなのだと思う。