空自トップ更迭へ

http://www.asahi.com/politics/update/1031/TKY200810310298.html
朝日の朝刊に出ていた。日本が侵略国家だったというのは濡れ衣、旧満州朝鮮半島の人々は日本の植民地支配によって圧制から解放され、生活水準も格段に向上したというのが趣旨らしい。紋切り型のウルトラ右翼的主張だね。いったいどんな文章かとちょっと興味本位で覗いてみることにする。
【公式】アパグループ|APA GROUP
とりあえずこのサイトでPDFで配布されているのだが、9ページの論文と呼ぶにはちょっとばかり稚拙というかなんというか、まあ硬派のエッセイというところか。内容的には陳腐な大東亜戦争賛美史観みたいなことでしょう。いろいろな意味で噴飯ものである。これ読んだら中国人、朝鮮人はやっぱり怒るでしょうね。こういう日本人がいるのだから、一方で朝鮮人竹島を占有したりするのも、あるいは中国人がサッカーでの対日本戦の後に日の丸焼いたりするのも、なんていうのだろう、さもありなんみたいなことになるのかなとも思う。
しかし民族主義というのは、ある意味国家の原動力でもあるのだけど、それを振りかざすのはやっぱり不毛なことなんではないかと、そんなことも思ってしまう。
アパ、あのアパである。「耐震偽装のホテル、マンションの件はどうした」のアパである。こういう企業がああいうパブリシティを展開しているわけだ。「真の近現代史観」ってなんだよ。なんか社長がその手の本を出していて、その出版記念の企画なんだそうな。その関連でタカ派の論客に小遣い配りの企画をたてたということなんだろうか。なんていうのだろう、タカ派のマスコミに小遣い配って、あるいはタカ派の政治家に金配って、その結果としてあの耐震偽装でも、あまり叩かれることもなくとりあえず生き延びてきたんじゃないかと勘ぐりたくもなるのである。
耐震偽装疑惑では幾つかのデベロッパーが倒産しているのに、ここはなんとか生き延びてしまったものね。鶴ヶ島若葉駅前の放置されたマンションも一切合財を長谷工に売っぱらって逃げ切りやがった。耐震偽装の件はその後どうなったんだろうね。
まあそれはそれとして、今回の田母神俊雄幕僚長についてだが、右よりの人からすればよくぞ言ったということになるのだろうし、左よりからすれば論外ということになる。麻生さんを含めて自民党の方々から、今の政局含みの中で余計なことをということになるのでしょう。私なぞは論文の中身より(一応読みましたけど、新しい論説みたいなものはあんまりないなという感想です)、この田母神なる人物の年齢に引っかかりました。60歳なんですよね、この人。ちょっと調べただけだけど、自衛官の定年制でいえば幕僚長はたぶん60歳で定年でしょう。確か統合幕僚長になると62歳まで定年延びるのではなかったでしょうか。となると更迭されてもたぶん今年中か来春くらいまでには定年になるわけでしょう。ほんでもって、がっぽり退職金もらって目出度く退職されちゃうわけですな。ようはなんとかの最後屁です。
この人が更迭どころかたとえば懲戒免職になって退職金を棒に振ってでも、大東亜戦争肯定論を展開するならそれもよろしい、それは信念の人としてまあ認めましょう、論説は認めませんけど。でも長年軍人として国のために働いてきた人がですよ、しかも軍人というのは政治には口を出してはいけない立場の人がですね、間もなく退職するからといって公然と政治的に意見が左右するような問題について語ってはいけないのではないかと思うわけだ。少なくとも現政権の政府見解とは異にする歴史観なわけだから。どうせなら辞めてから持論展開すべきです。
でもやっぱり現役と元では扱われ方が違ってきます。これで田母神さんは辞められても強持ての元自衛官として、タカ派の論客として売り出すことが可能になったわけです。って、これは結局とどのつまり再就職のための運動みたいなことだったんじゃないかと、そんな風にも思います。でもね、あの9ページの論文と称するもの、たいした文章じゃなかったです。プロの文章家となるにはさらなる勤行が必要なんじゃないかなとも思います。
タカ派現役自衛官」、「過去の侵略戦争正当化」、「耐震偽装アパグループ主催の懸賞論文」、なんか出来の悪い三題噺みたいだな。田母神さん最優秀藤誠志賞とかで賞金300万円と全国のアパホテル巡り券もらったそうだ。なんかもともと出来レースの報酬だったんじゃねえのと無責任な想像だけど。