墓参り

先々週の週末は神奈川県の愛川町にある私の家の墓参りに行った。相模メモリアル-パークというところだ。
http://www.smp.or.jp/index.html
相模原から城山方面に向かう山の中にある。ある意味神奈川のチベットみたいな場所だ。とはいえここ十年くらいでこのあたりもだいぶん開けてきていて、車を走らせているとそこそこ小奇麗なショッピンセンターとかにも出くわしたりもするようになった。
この場所に墓を購入したのは二十数年前、父親が急逝した折に葬儀屋から紹介されるままに何も考えずに決めた。その当時は横浜に住んでいたので車で一時間と少し。同じ県内だし、まあいいかぐらいの気持ちだったか。いやそれ以前に急な父の死とそれに続く葬儀や様々な事務的な手続き。次々と「はい、これお願いします」「これはどうしますか」みたいなことの連続だったから、熟慮とか長考とか比較検討とかそういうのはありえない世界だった。葬儀が終わって支払いをすませた時に、葬儀屋から「そういえばお墓はすでにございますか。もしご用意がないようでした、こういうところがあります」みたいな感じでパンフレットを渡されて、「そうか墓も買わなくちゃいけないのか、その金は用意できるかな。多少保険とかもおりるだろうから早く買うか」と兄と話して、けっこう簡単に決めたような記憶がある。
以前にも書いたような気がするが、この墓に最初に行ってみて驚いたのは、父が亡くなる一ヶ月くらい前だったか、父と二人で急にドライブへ行った時のことがあったからだ。ぶらぶらと16号を走って相模原近辺まで来ると父が水郷田名へ行ってみるかと言った。上溝を抜けて相模川にかかる高田橋の東側の川岸付近だ。
横浜線沿線 街角散歩 - 水郷田名
ここの川原を父と二人でぶらぶらした。夕暮れが迫ってきていた。父は川原に腰を下ろして対岸の山を見つめていた。その時どんな話をしたのか、当時でもあまり覚えていない。まあお互い無言で景色を見ていただけなのかもしれない。
その時父が見つめていた対岸の山、その裏側が父が埋葬された墓がある場所なのだ。だから墓を訪れた時にはずいぶんとびっくりもしたし、なにか因縁めいたこともあるものだなどと兄とも話をしたものだった。
今その墓には父と祖母が眠っている。この前に訪れたのは3月頃だったか。以前は一年に一度あるかないかと不義理を重ねていたのだが、やっぱり年とったせいもあるのだろう、春秋の彼岸の前後だけは顔だすようになった。特に圏央道が中央道と接続してからは、それまで車でなんだかんだで3時間近くかかっていたのが半分くらいに短縮されるようになった。1時間半前後で行けるようになると、けっこう気軽に墓参りということにもなるわけだ。週末になるたびに妻がどこかへ連れてけ、連れてけと口にするので、それでは墓参りにでもということにもなる。行けば墓前に向かって、「なんとか家族三人やっている。どうか暖かく見守ってくれ」みたいなことを念じつつ手を合わせる。やっぱり年とったということなのかもしれないな。
で先々週は私の方ということで、一昨日、昨日は長野の墓参りに行ってきた。お盆に帰省していないので孫の顔を妻の母親に見せるという理由もあり、とりあえず一泊してくる。昨日の日曜は生憎一日雨だったが、午後の3時過ぎに雨がやんだのを見計らって妻を車椅子に乗せ娘と三人で近所の林檎畑に囲まれた墓前に参ってきた。
まあなにはなくても彼岸には墓参り。亡くなった近親者への最低限の礼を尽くす。そういうことが普通に大切なことだと考えるようになった自分がいる。ようするにそれだけ自分も年くったということなんだろう。