「崖の上のポニョ」を観る

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崖の上のポニョ - スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI
昨日、ワカバウォークの中にあるシネプレックスで観た。娘がとにかく観たい、観たいと大騒ぎだったので、せっかくの三連休で夜更かしもOKだしということで、8時過ぎのレイトショーで観ることにした。もちろん妻と三人で行く。レイトショーは一人1200円なんだけど、身障者と介助者1名は1000円、娘もレイトショーは1000円。家族三人3000円での映画鑑賞。身障者のいる家族にとってはこういうのも小さな僥倖なのかもしれない。
車椅子用の観劇スペースは前列4番目くらいの一番右側にある。その横の席の二席指定で取ったのだが、レイトショーでけっこう席空いていたので、こんなことなら車椅子ではなく普通の席とったほうが良かったかなとも思った。妻も同じようなことを言っていたけど、まあ今回は初めてだったからと小さく全員我慢、我慢。
さて、映画についてだけど、面白かったよ。宮崎駿自身、今回はファミリーを意識してわかりやすい設定を心がけたということらしいのだが、これはまあ正解だと思う。今回の「ポニョ」、深みがないとか、ストーリーが安易だとか、いろいろ不評もあるようだけど、それじゃあさあ、「ハウル」はどうだったの。あのストーリーは破綻とまでは言わないけど、けっこうしんどくなかったかい。「もののけ」はどう。そう、ここんとこの宮崎駿作品って、けっこう当たり外れあるようにも思うわけだ。
私の場合、最高傑作は「千とちひろ」、次は単純に「トトロ」みたいに思っているタイプなんだけど、そういう人間には今回の「ポニョ」は十分に楽しめたね。基本的にはボーイ・ミーツ・ガールだし、誰も死なないし、ポニョは可愛いし、絵はきれいだし。他になにを望む必要があるっていう感じかな。娘もえらく気に入っていた様子。家族で楽しむ映画の王道いっていると正直思いました。
思いついたことを幾つかあげると、魔法で人間になったポニョはなんとなく「トトロ」のメイみたいでよかったね。彼女が嵐の海を好きになった男の子=宗介に会いに来るシーン。水霊たちの集合体であるうねる波の上を走ってくるところは思い切り笑えた。楽しいシーンだ。波の一つ一つが生き物のように描かれるところがすごくいい。かってフェリーニが海を人工的なものとして描いたものに匹敵する素晴らしい想像力だったように思う。
嵐の後に水没した陸地の中を古代魚が泳ぐシーンも素晴らしい。海の豊穣性みたいなものがストンと入ってくる表現だと思いましたし、全然違和感なかった。
後半ややもすれば急ぎすぎのような気もしないでもない。それでも海中の中で魔法的に普通に行動できる車椅子に乗った養老院の老婆たちが急に歩けるようになるのでさえ、生命の源の養分が溶け混んだ海に包まれたからという意味合いもまたすんなり理解できたりもするわけだ。
とにかく万人向けの映画である。普通に子ども連れの家族が、普通に楽しめる、至極真っ当な映画だったと思う。そしてなによりもポニョが可愛らしくていい。それにあのテーマソングがずっと頭の中でリフレインされる。楽しい。個人的にはのぞみちゃんのデモ、ピアノ伴奏だけのやつが一番好きなんだけど。
http://jp.youtube.com/watch?v=KdftF6mVXFA&feature=related