公立小中学校図書館の図書購入費ピンハネ!?

昨日の朝日26面、第2埼玉欄より

 図書費45市町が別用途に
 07年度に国から配分された公立小中学校図書館の図書購入費用を、県内45市町が図書購入以外に使っていたとみられることが文部科学省の調査でわかった。地方交付税の一部として配分された予算は一般財源となるため、施設建設など目的外に使っても罰則はないが、同省は「学校図書館を充実させるための予算であり、目的どおりに使ってほしい」と話している。
 公立小中学校 校舎耐震化など優先
 背景に厳しい財政
 同省は、公立の小中学校が学級数などに応じて図書館に供えるべき本の冊数「学校図書館図書標準」を定め、この標準を満たすよう図書購入費を市町村に配分している。
 しかし、同省によると、06年度末時点で、県内70市町村の公立小中学校で図書標準を満たしていたのは、嵐山、ときがわ、皆野、長瀞大利根の5町だけだった。
 全国的にも図書標準を満たしている小中学校は少なく、同省が市町村の07年度の図書購入予算を調べると、県内70市町村のうち57市町で、図書標準の達成・維持に向けて、毎年度学級数などから算出する図書購入費の基準額に達していなかった。
 このうち45市町が地方交付税で図書購入予算の配分を受けていた。基準額に対する図書購入費の割合(予算措置率)が最も低いのは14.3%の毛呂山町、次いで18.1%の鴻巣市で、いずれも地方交付税で図書購入費が配分されていた=表。
 毛呂山町は、06年度の予算措置率は73.8%で約234万円を図書購入に充てていたが、07年度は7割減の約69万円だった。同町教委教育総務課は、「町の財政全体が厳しく、教育関係の予算を小学校の校舎の耐震改修など図書以外に集めた」。鴻巣市財務課も、「学校図書も大切だが、中心市街地の再開発など、遅れているまちづくりへの予算を優先しなければならなかった」と話す。
 一方、基準額異常の予算を計上していた13市町村のうち、予算措置率が最も高かったのは159.9%のときがわ町。同町は06年度の予算措置率も228.5%で、基準額の2倍以上を充てている。同町教委教育総務課は「図書以外にも教育には多く予算をとっている。町の財政は厳しいが、少なくなっている子供が暮らしやすい町にして、町外から人を呼び寄せたい」と話している。

 ふーんてな感じで読みました。これって子どもの本を買うように国から配分された予算を自治体が別のことに使ったってことでしょ。まあガソリン税のように道路特定財源に限定するのも弊害はあるとはいえ、小中学校の図書購入費を目的外に使うのは、ちょ〜っと問題だなと感じた。それで別枠に載っていた図書購入予算措置率が低い自治体の表をつらつら眺める。

■07年度の小中学校図書館の図書購入予算措置率が低い自治体
        予算措置率
 毛呂山町    14.3%
 鴻巣市     18.1%
 松伏町     20.8%
 上里町     25.6%
 鶴ケ島市    27.1%
 本庄市     31.1%
 蕨市      31.3%
 横瀬町     34.3%
 菖蒲町     36.7%
 鷺宮町     36.8%

あちゃー、しっかりランクインしているじゃない我が町鶴ヶ島。おまけに表記は鶴ケ島とケが大文字だし。この町との関わりでいえば、6〜7年前に会社の移転でこっちへ勤務となり、昨年末に引っ越してきた。まあそのくらいの短いスパンにはなるけれど、若葉周辺では人増えている印象があるし、若い世帯が多いと思うのだが。まあ藤金近辺だけなのかもしれないけれど。
なのに財政状況が厳しいからと子どもの本代よそに使っちゃまずいだろうと率直に思うわけだ。それじゃ実際のところ、鶴ヶ島では小中学校の図書費としてどのくらい予算使ったんだろうと調べてみる。まずは文部科学省のサイトから例の「「学校図書館図書関係予算措置状況調べ(平成18、19年度)」の結果について(概要)」なるものを閲覧してみる。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/04/08041815.htm
新聞記事の毛呂山の例にそって鶴ヶ島の06年度予算措置率から図書購入費の充当分を算出してみる。おおよその基準財政需要額6147.8千円×予算措置率88.2%=5422.4千円が図書購入費。同様に07年度は9346.3千円×27.1%=2532.8千円。なんと07年度は半減以下になっているわけだ。なんかがっかりな数字だな。
鶴ヶ島も相当に財政状況が厳しいのだろう。町のインフラ整備もほとんど進んでいない状況だ。うちなんかもそうだけど、多くの家がプロパンガス利用、汚水は浄化槽を通してから下水溝に排水している。ようは本下水とかの普及率も低いわけだ。以前住んでいた大井町と比べても大きな開きがあると思う。そのうえ様々な公共事業もけっこう中途半端な感じで、例えば若葉駅周辺の区画整理とかにしろ、うちの近所にある共栄一本松線の道路用地などにしろ、なんとなく中途半端な感じがする。実際のところ金がないからいたし方ないというところなんだろう。
それでもだ、子どもの本代削ったらあかんだろうとは思う。最も別財源とかで充当してたら良いのだけれど。自分が一応本に関わる仕事をしているからいうのではないけど、出来れば子どもたちにはより沢山の本に触れる機会を設けてあげたいとは思う。学校図書室というのはそのために絶対必要なんだと思うのだが。
さらにいえばだ、教育や文化振興の金、けちる町には実は未来はないのではないかと、そんなことさえ思う。特に教育の金だけはけちってはあかんと思う。最も教育のための予算を潤沢にしても、ハコモノや人件費とかそういう部分ばかりにいってもしょうがないし、ようはソフトウェアにどれだけ投入できるかだと思う。
鶴ヶ島の人口はだいたい70000人強くらいだったと思う。そこに8校の小学校と5校の中学校がある。それでいて予算措置率27.1%、図書購入費253万はいただけない。なんとなく情けない数字だと思うわけだ。
ちなみに文部科学省のサイトからはPDFで全国市町村の06年度、07年度の予算措置率の一覧が見ることができる。この措置率から実際の図書購入費が算出できる。これをそれぞれの市町村の人口で割ってみたりすると、各自治体の教育に対する熱意というか、教育文化に対する温度みたいなものがなんとなくわかるのではないだろうか。まあ統計数字のロジックの一つなんだろうけど。誰か作ってくれないかな。