京都〜大阪へ行く

3〜5日と京都・大阪へ行ってきた。なんか二泊三日で関西というと中学生の修学旅行みたいだな。健保の保養所を例によって妻が予約したので、久々の京都・大阪へということになった。しかも車で、それも8月のくそ暑い最中だというのにだ。
京都は妻が病気になる半年ばかり前に会社のリフレッシュ休暇をとった時に訪れた場所だ。一人じゃ寂しいからといって、娘を学校強引に休ませてつき合わせていった。妻が元気だった時に娘といった旅行なので二人にとってもそこそこ思い入れのある場所、思い出の地でもあるのだ。
私にとって京都・大阪というのは十数年前に出版社の営業やっている時に数年間、一ヶ月起きに一週間必ず出張していた場所だったので、ある意味土地感はある場所だ。もっとも書店周りしていたのだから観光には疎い。およそ観光としては京都は二十年ぶりくらいだし、大阪に観光で訪れたことなんかないのだが。
車で高速突っ走っていくので、まあ初日はほとんど移動。朝7時過ぎに家を出て京都に入ったのは2時半頃だったか。道路は空いていたけど、まあまあ休み休みの道中だからそのくらいはかかる。
京都というと新幹線だろうと言われる。そのとおりだと思う。関西旅行で観光となると車でという感覚には普通ならない。でもやっぱり車椅子の妻のことを考えると移動は車でとなる。車椅子押して家族三人の三日分の荷物を持って右往左往なんて想像するだに消耗しそうだから。『それでも脳は学習する』を読んでいたら、山田さんは小学生の息子さんを連れて高松から東京そして新潟まで旅行をされているという記述があった。山田さんは注意障害とかはかなり重度だけれど、歩行のほうは杖や装具なしで大丈夫のようだ。だから息子さんと二人での長旅も可能なんだろうなとも想像する。

とはいえ、やっぱり車椅子での移動となると介助者はけっこう大変なのだというが実感のところだ。ましては小学生の娘も連れてとなると、車での移動ならなんとかなるけど、電車で長旅はいかにもしんどい、いやしんどそうだ。駅で乗降、エレベーター探して右往左往、大きな荷物はどうするのか、もう考えるだけでげんなりしそうだから。
京都では、妻と娘の思い出の場所らしくてもう一度行きたいリストナンバーワンが太秦映画村だったので、それ以外に行くところはきわめて限られていた。初日は一応清水寺三十三間堂あたりをリストアアップしてたけど、結局清水寺だけだった。
事前に以下のサイトとかで京都のバリアフリーとかを調べておいたのだが、けっこう参考になった。
http://www.kyoto-v.com/map/index.htm
実際、こういう下調べがなかったら清水寺の市営駐車場が険しい坂道どうやって車椅子押していくかとなると暗雲垂れ込めちゃうもの。このサイトにあるとおりに茶わん坂を上りきったところでインターホン押して職員用通路を通してもらい舞台の手前まで車で行けたのは僥倖だと思いました。舞台にまで車椅子で行けたのだから。
おそよ二十年ぶりの清水寺は記憶のとおりでした。まあ当たり前だけど。妻にとってもなんでも高校の修学旅行以来のことらしい。まあ病気になってもとにもかくにも京都きて清水の舞台観光できたのだから、そこそこ感慨ひとしおみたいな感じなんだと思う。
結局、初日はこれで終了。嵐山の保養所にすぐに向かった。今回泊まった保養所にはあまりバリアフリー関連の施設はない。風呂も通常のものを使用する。当然男風呂、女風呂がわかれているから、家族が介助して入るというわけにはいかない。妻は娘がいればなんとかなるといっていたけれど、娘はけっこう緊張していたみたいだ。それでもなんとかなったみたいで滑って転倒みたいなことも一切なかった。普段の移動時のT字杖とは別に風呂用に4点杖を持っていったのだが、それだけでなんとかなったみたいだ。
二日目は午前中に宿から近い天竜寺まで車椅子押していった。それから宿に戻り車で太秦映画村へ。さらにそこを出たのが三時過ぎだというのに、もう一つくらい寺巡りをと思い竜安寺まで。ここでも身障者がいることを告げると寺務所前まで車を進めることができた。さすがに本堂に入るには車椅子を降りなくてはならないけれど、杖歩行でなんとかクリア。有名な石庭を見ることもできた。
この石庭を実際に観るのはたぶん初めてのことだったのだが、やはりそれなりのインパクトがあるところだとは思った。昔から写真や本ではなんども目にしているし、それなりの趣があるのだろうと思う。

石の象(かたち)、石群、その集合、離散、遠近、起伏、禅的、哲学的に見る人の思想、心情によって多岐に解されている。

パンフレットにはこうあるけれど、まあ解釈によって様々な心象風景を投射することも出来るのだろう。見る人のある種の小宇宙を投影した図とでもいうのだろうかね。思い入れ、思い込みの類だろうから、なんでもありなのかもしれないけど。でも、これはこれである種の芸術作品だとは思った。