ふじみ野プール事故 遺族、市・業者と示談 損賠賠償「京明」とは未成立

ふじみ野市の市営プールで06年7月、小学年の戸丸瑛梨香さん(当時7)が吸水口に吸い込まれ死亡した事故で、遺族の弁護士は、遺族が24日、市、プール管理を受託していた「太陽管財」(さいたま市)との間でそれぞれ損害賠償の示談が成立した。示談金額は明らかにしていない。
弁護士によると、太陽管財から管理業務を丸投げされていた「京明プランニング」(同)とは示談は成立していないという。
事故をめぐっては、06年11月、プールを管理するふじみ野市の市課長ら3人と、管理会社2社の社長ら3人の計6人が、業務上過失致死容疑で書類送検された。
24日に報道各社に届いた文書で、遺族の弁護士は「市と太陽管財との損害賠償問題は決着したが、遺族らは今後も、刑事裁判を通じて事故原因が明らかにされること、関係者が厳正に処罰されることを望む」とコメントした。同市の島田行雄市長は「二度と事故が起こらないよう今後の行政に当たっていきたい」とコメントした。3/25朝日新聞埼玉版

新聞をペラペラめくっていたら地方欄で上の記事が目に入ってきた。他にネットであたってみると以下のような記事もあった。

ふじみ野のプール事故 示談成立 市長「改めておわび」
 ふじみ野市営プールで昨年7月に死亡した所沢市山口、小学2年戸丸瑛梨香ちゃん(当時7歳)の両親と示談が24日に成立したことを受け、ふじみ野市の島田行雄市長は、「改めて心よりおわび申し上げる。遺族の気持ちを考慮すると、現段階で詳細は申し上げられないが、二度とこのような事故が起こらないよう意を強くし、今後の行政に当たっていきたい」とコメントした。示談は、プールの管理業務をふじみ野市から委託されていたビルメンテナンス会社「太陽管財」(さいたま市北区)との間でも成立した。
 ふじみ野市は事故を巡って職員らが書類送検されたことを受け、島田市長の給与を昨年12月から6か月間、50%減額。北村政夫助役と吉野英明教育長も4か月間、40%減額している。また、2月には、管理業務を怠ったとして職員11人の処分を発表、事故当時の市教委教育次長、同体育課長を停職2か月などとしている。
 また、再発防止策として、同市は事故調査委員会の提言を受けて組織改編を実施。1月、西和彦総合政策部長が新設の危機管理監を兼務し、市所有施設の管理マニュアルの作成、事故発生時の職員の指揮を担当することにした。そのほか、危機管理の専門家を招いて全職員を対象にした研修も行っている。
 一方、太陽管財から管理業務を下請けしていた「京明プランニング」(さいたま市見沼区)からは損害賠償について具体的な返答がないといい、両親の弁護士は「民事提訴も視野に入れて請求を続けていきたい」としている。また、「針金で固定された吸水口のふたが放置されてきた経緯や責任の所在は明らかになっていない。刑事裁判で事故原因が明らかにされることを望んでいる」と話した。(2007年3月25日 読売新聞)

率直な感想としては、これでプール事故は完全に幕引きされてしまったということ。刑事裁判では多分執行猶予つきの判決が出て終了するだろう。結局あのプール事故の原因にまで司法がつっこむことはないだろうという予感もある。
遺族にとっては示談をけり長期に渡る民事訴訟を行うのが耐え難いものがあったのだろう。
示談が成立したのだから、請求額を下回ったとしてもまあ許容範囲内での金額になったということだ。遺族に対しては本当に大変でしたね、という同情の思いを覚えるのみだ。
では示談金がいくらだったか、それを問うのはあまりにも下世話っぽいことかもしれない。でもだ、納税者としての立場からすれば、それは公表すべきことであるのだはという考えもないではない。示談金をどう市と業者で分担したのかは定かではない。でも例えば金額が6000万だったとして、それを二分の一ずつ分担したとする。市は3000万を損賠賠償金として支払ったわけだ。そのうちどのくらいが保険等で充当できたのかはわからないが、いずれにしてもそれは公費からの支払いであり、市がきちんとプールの管理を行っていれば支払われることがなく、市民サービス等に利用できたかもしれない金なのである。
これに一つとってもきちんとした政治・行政の責任が問われるべきことなのであるはずなのだが、島田市長にはその自覚もなく、昨年暮れに自ら決めたらしい減給処分でこの件に関する禊は完了しているとお考えのようだ。「二度と事故が起こらないよう、今後の行政に当たっていきたい」というコメント、本当に自覚ないですね、この人っていう感じだ。 施工段階から問題ありの欠陥プール、さらにずさんな管理、吸水口の針金留めの問題、旧大井町の町長時代から一貫してそれらの責任の頂点にあったのがこの人なのである。なのに自らの責任は六ヶ月間の50%減給だけなのだ。この人会社経営とかしているくらいだから、金には困っていないだろうから、この減給なんてまったく痛くも痒くもないだろう、単なる形式的な自己罰則行為でしかないのだと思う。それで責任は果たしたといえるのか。さらに公費使っての損賠賠償なのである。
二度と事故が起こらないようにするためには、原因を追究、究明。それがまず第一義に行われなければならない。それを不問にしたうえで形式的な処分による責任の形骸化、示談による幕引き、それですべてを終わらせてはならないのだと思う。市長や市当局は市民、マスコミおよび社会全般の健忘症に期待しつつ、この事件をとりあえず案件処理としては終了させるということなのだろうな。でもね、私はとりあえず忘れないよ。少なくともこの町に住んでいる限りはね。