障害者の社会復帰のハードルって

妻は最近、よく職場に復帰したいと言うにようなってきた。ある意味、回復の度合いに対する自信の表れという部分もあり。実際、けっこう杖歩行のスピードも上がってきているし、以前に比べれば長い距離を歩くこともできるようになっている。回復してくれるのはとても有難いことだし、本人にとっても嬉しいことなんだろう。でも、だからといって職場復帰となると、どうなのだろう、けっこうハードル高いのじゃないのかなと思う部分もあることにはある。
実際、良くなってきているとは思う。でもやっぱり注意障害はもちろんある。昨日もスーパーに一緒に買い物にいったのだけど、けっこうしょもない行動をとっている。妻に買い物カートを押させて買い物させていたのだが、98円のキャベツ売り場になぜか大根が置いてあるのを発見。買い物カートに大根があるか見に行くとやっぱりない。キャベツをカートに入れる時にカートに入っていた大根を出してそのままにしてしまったみたい。さらにはそのスーパーは、毎週日曜は客寄せのために卵10個入りパックが99円なので、うちなんかはそれ目当てにいくようなものなんだけど、最初に入れたはずの卵が家に帰ってみるとない。妻に聞くと最初はしどろもどろだったけど、ようく思い出させると、なんでもヨーグルトをカートに入れた時に出して乳製品売り場に置いてしまったらしい。卵目当てにいったのにな〜と、つい妻にぶちぶち文句を言わざるを得なくなる。
まあ、こんな風に相変わらず一つのことに注意が向くと、それまでにしていたことへの注意が失われてしまう。典型的な注意障害の症状の一つなわけ。まあ子どもなんかと同じなわけだ。もちろん指摘されると自覚できるから、けっこう本人も傷つくのだけれど、やっぱり指摘せざるを得ない。
こういう障害が妻の休業のリミットである後10ヶ月でどれだけ是正されるのかどうか。それを考えるとやっぱり暗雲たれこめてしまう。さらにいえば妻がやっていた仕事は経理関係の細かい仕事系だったりするわけだから。
それ以前にこれが一番ネックかなとも思うのが通勤のこと。都内の勤め先までは電車の乗り継ぎを含めて1時間10〜15分くらい。自宅から最寄駅までは徒歩15〜18分、チャリでも10分前後かかっていた。これをどうするのかっていう問題が出てくる。全部を杖歩行でいくのか、あるいは車椅子で。そうなると満員電車をどうするのかみたいなこと。自分も当然勤めているから、通勤の介護なんて端から出来っこない。このへんのこと全てが残る10ヶ月でどうやって解決つくのか、まったく糸口すら見つけ出せないというのが実感だ。
障害者で職場復帰を果たされた皆さんって、いったいどうされたんだろうとつくづく思う。とはいえ、常に頭から離れないことは、妻の脳梗塞が右脳の三分の二に達する大きな梗塞巣を持っていること。発症当初はCTやMRIの写真みた医師はたいてい、歩くのは難しいだの、基本的には車椅子生活だのといってくれた。それからすれば今の妻の状態は御の字がつくくらいの回復なわけだ。これ以上、何を望むんだいっていうような声が聞こえてきそうな気がするのだ。国リハの主治医は退院間際に、私が妻の社会復帰について聞いた時にこう答えてくれた。
「会社に復帰は難しいだろうな。でもこれだけ良くなったんだから、長い目でみて家事とかが少しづつ出来るようになれば、それでいいんじゃないだろうか」
そう、そういう意味では、妻はまだほとんど家事らしい家事もできてはいない。たまにカレーとか作ったこともあるにはあるが、恒常的に料理をしたり、何をしたりというようには全然なってはいないのだ。それ以前に身の回りのことについても、毎朝の着替えも私がほとんど99%やってあげている。これは退院間際の頃に比べても後退している。風呂もすべて私の全介助だ。まだまだそんな状態にあるのだ。
社会復帰、参加、仕事をするということが障害者にとってとても重要なことだとは思う。でもどう考えてもまだまだそういうレベルではないというのが、現実なんだとは思う。例えば山田規久子さんなんかと比べたら、まったく雲泥の差というくらい妻の場合、仕事に就くような環境にはないのだ。
それでもやっぱり回復してきている妻のモチベーションを初手からつぶすわけにもいかないし、職場復帰のためのプログラムとかをいろいろ考えなくてはいけないのだとは思う。どうなんだろう、やっぱり国リハの主治医やソシアルワーカーとかに相談してみるとかからはじめてみるべきなんだろうか。