「大井プール事故を検証する」公開学習会に出席して

11日にふじみ野市議会民主党・市民クラブの主催による公開学習会があった。今回のプール事故(事件)について最も適切な分析、コメントを述べておられる有田一彦さんがアドバイザーとして出席されるというので、ぜひともお話を聞いてみたいと思った。場所はふじみ野市産業文化センター・ギャラリー。キャパ的には50人以上、立見まで設ければ100名前後はいけるのだが、出席者は12〜13名程度だった。まあ、これが地元でのプール事故のすでに風化されつつある状況を象徴的に示しているんだろうかなどとも思ってしまった。
雛壇には正面に有田氏、その両側を民主党・市民クラブの市議が囲むような形で座っていた。最初に有田さんから基調報告が50分前後。それから質疑応答とまとめというような内容だった。有田さんのお話ではすでに彼のサイトで書かれていることも多く、どちらかといえばふじみ野市の事故調査委のまとめた報告書の批判的に読むことで、わかってくる疑問という形で、すでに有田さんの提起済みの疑問点を再確認するような内容だった。
いろいろと書きたいこと、思ったことはあるのだけれど、それはおいおい考えていきたい。学習会についてはすでに、主催者側の各市議のブログ、サイトにも記してあるのでそのほうが参考になると思う。
民部市議ブログ
http://blog.livedoor.jp/mimbu_kayo/archives/50936785.html
鈴木市議ブログ
http://www.keitarou.info/klog/index.php?e=315
青山市議サイト
http://homepage1.nifty.com/aochanworld/action.report.html
幾つか気になったことを記すが、まずは有田氏がどこかでプール管理の受託業者太陽管財からふじみ野市義の何名かに政治資金が渡っていた可能性があるという話をされたところだ。もしこれが事実であれば、太陽管財が1996年以降でも9回も受託を受けていることの背景が浮かび上がってくる。なぜ太陽管財が京明プランニングに業務丸投げすることができたのか。針金で防護柵を固定するなどというずさんな管理がまかり通ったのか、それらの理由の一つがここにある可能性があるということだ。献金を受けた市議が市(旧大井町)の入札に影響力を与える。それがずさんの連鎖の発端であった可能性だ。
しかしこれが事実でなければ有田氏は名誉毀損、告発ものだとも思う。有田氏の書かれたものや、今回のお話を伺ってみて、私自身は有田氏はきわめて信頼できる方であるという印象を受けた。出来ればそのへんは有田さん自身が改めて告発されてもいいのではとも思う。
また、いまこそ埼玉に支局を持つ各新聞社の有能な記者たちにはぜひ頑張ってもらいたいなとも思う。太陽管財からふじみ野市議や埼玉県議への政治資金の流れみたいなものが明らかになれば、なぜ大井でかくもずさんなプール管理が行われたかの一つの理由、原因が訴求されるのではないかと私などは思うのだが。もうこれは単なるプール事故だけではない、地方政治のスキャンダルにもなりかねないとさえ思うのだ。
さらにいえば、今回の学習会を主催した民主党・市民クラブの各議員にもお伺いしたいところなのだが、この会派は実はふじみ野市議会では自民党系、公明党系とともに島田市政の与党会派でもあるわけだ。もし自らが太陽管財から政治資金を受け取っていなくても、同じ与党会派のどこかの議員が受け取っていたなら、同じ与党会派として失点につながることを肝に銘じるべきだと思う。党派が違うからまったく関係なしとはならないのが政治だと私などは考える。
そのへんも踏まえてなのだが、民主党・市民クラブはプール事故を契機にして、ふじみ野市議会では与党から野党に転じた方がいいと思う。この事件が今後、ふじみ野市職員の起訴にまで発展した時に、一人共産党だけがポイント集めるだけのような気もしてならない。
今回の学習会は有田さんの話を伺うことが出来たということだけでもとても有意義な機会だったと思う。そこでまたちょっと思うことなのだが、この場に共産党の関係者っていたのだろうか。せっかくプール問題の専門家を招集して学習会を設けたのだ。党派の利害を超えて出席し話しを聞くということがあってもよさそうなものなのにとも思うわけだ。党利党略でプール事件を取り上げているんじゃないのであれば、誰か出席していてもよさそうなものなのにとも思う(出席されている方がいたらごめんなさい)。さらにいえばふじみ野市の労組関係者は?ふじみ野市の職員は何人いた?これも出席している方がいたらごめんなさい。でも、出席者はわずか12〜13名なのだ。
そのうちの大部分は本当に一市民として今回の事件に関心を持っているから参加しているのだろう。それを考えるとみんないったいなにをやっているのかという気がしてくるところだ。
有田さんは、今回の事件に関してのふじみ野市の対応に全国のプール関係者が注目していると話された。そのとおりだと思う。だとすればきちんとした対応を市はしていかなくてはならないと思う。そしてそれを市民が後押ししていかなくてはならないのだろうとは思う、本当はね。でも、全国的にもそうだし、ふじみ野にあっても、この事件は急速に風化しつつあるのだろうと思う。
自分は一市民としてはとにかくこの事件を忘れない。こんなネットの片隅ではあるけれど、ひつこく、ひつこく折にふれて書いていきたいとは思っている。それくらいのことしきゃ出来ないからね。
あと質疑の中で「ずばり、責任は誰にあるのか」と問われた方がいた。有田さんはそれに対して「ある意味では関係者全員に責任がある」と答えられていた。これを受けて民部市議が上福岡のプールが老朽化で6月に運営中止が決まった時に、市議は誰もそれでは大井のプールの安全性を指摘できなかったと述べられた。あたかも市議全員にも責任があるかのようにだ。だけども私はこういうある意味一億総懺悔的な議論は意味を成さないとも思っている。確かにそういう側面もあるだろう。でも、それは結局のところ責任論を分散化させうやむやにさせるだけなのだから。
今年1月に赴任した元上福岡の職員である現体育課長が起訴される可能性があるという。それはまさしくスケープゴードでしかないのだろう。でもそれが官僚制での責任の取り方なのだ。詳しくはマックス・ヴェーバーでも読んでくれとしか言いようがない。そのうえで、責任の所在を明確にさせる必要がある。市のプールに対する安全管理、運営上に大きな問題があった。それも十数年に渡って継続して問題が放置されてきた。そのうえで何の瑕疵もない一人の少女がその問題に引き込まれて亡くなったのだ。そのことの責任をいったい誰がとればいいのか、はっきりとしていることだ。市の最高責任者・執行者である市長が責任を取る。それがまず大前提だ。政治責任とは常に結果責任である。誰も市長がプールで子どもが死ぬことを想定していたなどとは思わない。でも、市の管理体制の不備で人一人が、それも将来ある子どものすべてが喪われたのだ。そのことの責任は市長がとる以外にないだろう。再発防止、損害賠償、それらの事務的な手続きは粛々と行われなくてはならない。でもそれは市長が責任をとったうえでの話しだと思う。