蓄膿症

ここ半年くらいになるか、ずっと鼻詰まりでえらく難儀している。6月に近所のよく行く耳鼻咽喉科の医院にいき抗生物質とかをもらったけど、薬を飲み続けるのが今ひとつおっくうなまま。それでいて症状は悪化の一途で、とにかく鼻が詰まる。でもかんでもかんでもあんまり鼻水でない。鼻うがいっていうんだろうか、鼻から水を吸ってから鼻をかむというのをやるとなんかどろっとした鼻汁がようやく出てくる。でもちっともすっきりしない。仕事をしていてもそんなこんなで今ひとつ集中できない。
ということで月曜に再び医院にいくと、蓄膿かもしれないということでレントゲンを撮られる。当たりでした。見事に蓄膿らしい。素人目にはよくわからないのだが、左側の上顎洞という目の下の辺りにある空洞部分が白っぽくなっているらしい。医師にいわせるとこの白っぽくなっているのは膿が溜まっているからと。で、次回に針を刺して膿をとりましょうと言う。「それって、手術ですか」と聞くと、医師は曖昧に「いちおう手術のようなもので、膿を抜いて洗浄します」と答える。「あの、手術となると入院とかじゃないんですか」「うちの場合は外来でやります」ということで金曜日に来ますってことになったわけ。
しかし蓄膿の手術っていうのは、昔兄がやったのを聞いたことがあるし、以前努めていた会社の同僚とかが一週間近く入院したというのを聞いたこともある。たいていの場合、前歯と唇の間の歯肉を切開して、なんとなくイメージ的には肉をべりっとやってそれから上顎洞の膿を取り除くというもの。全身麻酔でたいての場合、鼻骨の一部をのみで削ったりするという大手術。最近の医療技術の進歩はすごいものがあるので、この手の大手術が入院なしの外来治療にとって代わったのかとも想像した。それでも鼻の中に針を刺してというのに正直びびりまくっていました。
3時からの午後の診察時間を少し過ぎてからいきました。さすがに夏場はあまり耳鼻科のお医者さんは流行っていないのだろうな、患者さんの数もぽつぽつとまばら。5分ほどで診察室へ呼ばれる。まず最初にもう一度レントゲン写真を撮られる。で写真ができまるまで待合室へ。また呼び出されて診察室。レントゲン写真を見ながら患部を確認してから鼻腔内に麻酔薬を浸みさせたガーゼを詰め込む。それからまた待合室へ戻される。じわじわと鼻の感覚が鈍くなってくるけど、それでも感覚はけっこう残っている。この状態で針ぶすりはあんまりだなと思っている頃にまたまた呼び出されて診察室へ。
診察用の椅子に座ると医師はまず麻酔をといって鼻腔内にぶすりと注射を。次にいきなりかなり太めの針を刺された。なぜかしらんが治療によく使う金属性の小皿を持たされて顎のあたりで固定しているようにいわれる。するとすぐにぐしゃっという音が聞こえる。医師が骨を突き抜けたところと解説してくれる。で、いきなりじゅるじゅると膿を吸引する音、続いて薬を注入する音。痛みこそないのだけど眼前というか目の下、鼻のすぐ上のあたりの内部で行われているこの治療には嫌悪感というかとにかくえたいのしれない嫌な感じでほとんど耐え切れない状態。ずっと目をつぶっていたので視覚的な痛みというのではないのだけど、とにかく強烈な不快感と今後くるかもしれない予見的な痛みみたいなものを感じた。
手術自体はほとんど数分で終了した。手にもった皿を見るように医師からいわれる。黄色い液(おそらく洗浄液だろうか)の中に白っぽいどろっとしたものがいく様にも沈殿している。医師の言うにはこれが溜まっていた膿だという。それから鼻腔内に血止めの綿を詰め込まれてまたまた待合室に戻される。正直こっちはもう放心状態。でも、処置自体はきわめて手際が良い。以前、娘が中耳炎にかかって簡単な手術を行ったときも、泣き叫ぶ娘を何人かの看護助手と私が押さえつけていても、施術自体は本当に一瞬のうちに終わらせてしまった。
この女医さんは痩せていていつも大きなマスクで顔がよくわからない。話し方が早口であまり滑舌がよろしくない。年齢不詳な感じの人だ。受付の上に飾ってある賞状みたいなのを何気に見ていると医学博士であるとか。それも東京大学医学部による認定。この人って、東大なんだと感心。窓口の上にはこの医学博士の免状と耳鼻咽喉科学会による耳鼻咽喉科認定医師の免状のようなものが張り出されていた。そのどっちかに生年月日も出ていて昭和32年4月生まれとあった。ほとんど同年代なわけだ。こういう年が近くて頑張っている女性のプロがけっこう身近にいるんだなとなぜかわけもなく感動。なんとなくこの先生についていきますみたいな感じになる。
最後にもう一度診察室に呼ばれて鼻腔内をチェックしてもらう。この施術はもう一度行うのが普通なのだとか。次回の診察時に再度レントゲンを撮り、よくなっていればそのまま薬での治療を続ける。場合によってはもう一度洗浄をとのこと。医院を出たのは5時過ぎだったのだが、出血自体はちょっとずつ続いている。今でも鼻をかむと血のまじった鼻汁が出る。なんとかこれで良くなってくれればいいのだけど。
治療を受けてから幾つかのサイトで蓄膿について調べてみる。どうも受けた治療は手術などというものではなく、投薬治療中心の保存治療のひとつだったみたいだ。

上顎洞穿刺洗浄
鼻から上顎洞に針を刺し、貯まっている液を吸引し、生理食塩水で洗浄します。抗生物質を注入することもあります