妻のそそう

昨日の日曜日のこと。妻が散歩に行きたいというので、自宅前の学校を一周した。娘は久しぶりに一輪車で遊ばせた。なんだかんだで一時間くらいかかっただろうか。家に帰る間際になって、妻がトイレにいきたいといい始めた。家まで数十メートルくらいまできていたので、とにかく急がせようとしたけれど、杖歩行だからどうしても牛歩の歩みだ。なんとか家に戻り、玄関すぐの一階のトイレに入ったところで間に合わず大のほうをもらしてしまった。ある意味こういう状況も四回目になるので、妙に冷静に対応した。
まず妻には用をすまさせる。その後は、まず足元の便をかたずける。それから汚れた衣服を脱がせ汚れた部分を拭いてやり、妻には二回の風呂場にいくようにしてトイレから出す。それから衣服の汚れをトイレの中でざっと洗う。前回はこれを風呂場でやったのだが、後で排水溝の掃除がけっこう大変だった。で、とにかく水洗トイレを何回も流しながら衣服の汚れを落とす。衣服のあらあらの洗浄が終わったらビニール袋に詰め込む。それから便器、床などを入念に水拭きする。
妻は指示されたとおりに風呂場の介護椅子に腰掛けていた。下半身をきちんと洗ってから、気分転換に妻の髪の毛の白髪染めをしてやった。前回は確か4月の頃、確か自宅外泊を始めた頃だったか。白髪染めの入念に塗ってから、汚れた衣服を洗濯機で洗う。付着していた便はほとんど洗い流してあったけれど、二度洗いを選択して洗濯機を回す。約15分待ってから妻の白髪染めを洗い流して洗髪する。
一連の作業を終了させ妻を着替えさせる。なにかとてつもなく疲労感、脱力感に襲われる。でもまだ夕食の支度もしていない。前夜作ったカレーがけっこう残っていたけれど、飯炊く気力もなく外食することにする。妻と娘を車に乗せて、いつもの回転寿司へ。娘は寿司大好きだから大賛成。妻は回転寿司は今ひとつ乗り気じゃない様子だったけど。
妻のそそうは病気だから仕方がないこと。便意を催しても健常者とは違い片麻痺ではすばやくトイレにいくことなんて出来っこないのだから、いたしかたないこと。後始末は大変だけどしょうがないよというのが自分の気持ちではある。ただ、ちょっとだけ心配なのは、ここ二回とも娘が現場を目撃していること。いくら病気だからといっても母親のそういう姿を目にしては、幾分かはショックを受けているのではと心配してしまう。それでなくても、退院して以来、娘が母親と接する際になんとなく距離を置くようになってきているような雰囲気が少しずつだけど感じられる。気のせいかと思いたい部分もあるのだが。
病気の母親を受け入れることが出来ない部分がいろいろと生じてくる。まだまだ幼い子どもであればそれもやむ得ない部分もあるだろう。とはいえ露骨に母親を嫌がるようなポーズを見せれば親として怒らざるを得ないだろう。今のところそういうことはないけれど、難しい部分もあるなとも思う。そういうことを考えると娘も妻も、そして多分私も少しずつ傷ついていくような気がする。