アルゼンチンVSセルビア・モンテネグロ

なんだこのゲームは。異次元の戦いみたいではないか。セルビア・モンテネグロはこんなにも弱っちいチームだったのか。いや違う。アルゼンチンが強すぎるのだ。相手が途中で集中が切れたとはいえ、とにかく決定機という決定機のすべてを得点に結びつけた。このチームは本当に強い。先発メンバー全員の能力、運動量、センスがハンパじゃない。リケルメは本当の意味でのゲーム・メーカーといえる。2得点をあげたマキシ・ロドリゲスはシャドウ・ストライカーでもあり豊富な運動量で動き回ってもいた。特に目についたのはボランチマスチェラーノと左SBのソリン。90分間精力的に動き回っていた。
後半になって投入された二人の天才、テベスとメッシは期待通りの活躍をした。メッシは実は始めて目にした。重心の低い高速ドリブルにしろ早いシュートやパスにしろ18歳でこの動きができるのはまさしく天才だ。4年後が楽しみだし、怪我だのなんだのがなく大成すればまさしくマラドーナクラスになる可能性もある。そしてもう一人の逸材テベスは投入当初こそ気負ったプレーが目についたが、一人で二人のバックスを楽々かわして持ち込んだシュートはまさしくタレントの証明だ。大舞台で中々できるものじゃない。テベスは一人で戦況を変えられる力があることをこのプレーで証明してくれた。
アルゼンチンは今大会の優勝候補の一つだとは衆目の一致するところだ。大本命のブラジルの次に位置するチームは実力的にはイタリアとアルゼンチンの二チームだと思う。守備の充実度ではブラジルの上をいくかもしれない。もし中南米での大会であったら間違いなく優勝してしまうかもしれないな思うほどだ。しかし今大会はヨーロッパで行われるのでどこかで力つきるような気がするな。
このチームは4年後が楽しみでもある。28歳のリケルメは4年後もいけるだろう。カンビアッソサビオラも30前後になる。そしてテベスとメッシだ。どんなチームが出来上がるのだろう。
今大会のアルゼンチンについていえば次のオランダ戦が面白いと思う。精力的な動きでこのチームを鼓舞する左サイドのソリンはファン・ペルシをきっちり押さえるだろうか。逆にこのサイドをずたずたにされるとアルゼンチンはきつくなる。あと中盤でのつぶしあいになった時にこのチームはどうなるだろうか。リケルメカンビアッソマスチェラーノ。この三人にガンガンあたりにいく中盤のアタッカーが揃った時にこのチームは分断される可能性もあるのではと思う。例えばイングランドのジェラード、ランバードあたりがリケルメカンビアッソに果敢に勝負に行き、マスチェラーノルーニーのフォローに追われるような展開だ。
いずれにしろ決勝トーナメントでは数々の名勝負が期待できる。アルゼンチンは本当に夢のあるチームだ。たぶんどこかで開催国ドイツとの死闘みたいな展開になるのではないかと今から夢想しているのだが。