妻の狼狽

夕食時、妻に味噌汁を注意するように言った。かなり熱かったのでお椀をすぐに手を出せない場所において、さめてから飲むように言った。なのにいきなりお椀に手をのばしテーブルのはじに持っていった。ちょっと触ればテーブルから落ちてしまうような場所に。それで妻をきびしく怒った。なぜいきなり味噌汁を動かそうとするのか、一言味噌汁飲んでいいかどうか聞けないのかと。もちろん聞けば、まだ暑いからもう少し待ってということになるのけれど。
そんなことでちょっと妻を叱ったら、妻の行動がめちゃくちゃになった。納豆まぐろの大きな器から小さなお茶碗に納豆をかけようとして半分以上テーブルにこぼすなど。で、そのことで注意するとさらにとんちんかんな行動をする。明らかに注意を与えることでパニック症状に陥ってしまったかのようだった。それなのにこっちも感情的になっていたのだろう、きちんといろいろなことに注意を払えないようだと、家族としては一人でおいておくのは怖すぎる。このままいくと、再入院だよと何回か口にしてしまった。それが妻をより混沌とした状態に陥れたのかもしれない。
妻は病人なのだから長い目でみて徐々に日常生活に慣れていくようにしむけなくてはということも理性としてはわかる。でも、何かそそうがあった場合の後片付けをぜんぶしなくてはならない立場としてはそうもいってはならない。まして今回のようにやけどなどおってしまっては、包帯替えのような余分な作業も増えてくるわけだ。
病気になった妻を気の毒に思い、できる限りのことはしてあげたいとは常々思っていはいる。でも、いつもいつもそんな綺麗ごとだけではすまない部分が日常多々あるわけだ。