授業参観

退院初っ端から学校行事である。娘が通っている小学校では、毎年この時期の土曜日に授業参観を行い、月曜日を振替休日にする。たぶん各学期に二回行うウィークデイの授業参観には父親が参加できないのでということで始まったのではないかと推測する。土曜日に授業参観できるのは子どもの学校での様子が確認できるので有難いことではあるのだが、その代わりに月曜が振替休日になるのは共稼ぎ家庭にとっては、痛し痒しというか、ちょっと憂鬱でもある。うちの場合でいえば例年とも振替の月曜日は風の里に預けてしまうのだが、それだって料金が余分にかかるわけだし。
今回の授業参観については、最初娘に母親を連れて行ったほうがいいかどうか聞いてみた。娘はママに来てもらいたいと何度も口にした。それでママが車椅子で行っても大丈夫か先生に聞いてみろと娘に言っておいた。娘はすぐ先生に聞いたようで、「先生大丈夫って言っていたよ」と言う。それで妻にも授業参観行くかと聞くと「行きたい」と言う。妻の状態が状態なだけに、ちょっと晒し者ぽくなったりしたら嫌だなとか、妻がもし失禁とかしたらとか、いろいろ最悪のことも考えたけれどとにかくなるようになるだろうとも思い連れていった。もっとも学校は家の前だから車椅子押して行っても五分とかからないのは楽といえば楽。
授業は国語と学級活動の二コマを参観する。国語は修飾語について。学級活動は班ごとの研究発表で、学校周辺にあるイソップ寓話を元にしたモニュメントについて調べたことを発表するというものだった。うちの子どももけっこう手を挙げていたし、指されてもきちんと答えられていた。45分の授業二コマを妻も車椅子できちんと聞けていた。多少の違和感はあったけれど、こういう親がいても別にいいんだということ、まずはうちの子どもが病気で障害者になった母親のことを普通に受け入れていることが嬉しかった。なんとなくだけど、ひねくれた子どもだった自分の感覚からすると、車椅子に乗った親というものに、なんとなく引っかかりを感じたり、クラスメイトに奇異な目で見られることを嫌がったりとかありそうな気もするのだが、少なくとも娘はそのへんのことをクリアしているようだ。
授業終了後は次のアポが入っていたので、すぐに学校を出て家に戻る。