デイサービス施設を見学する。

会社を午前休をとって国リハにいく。久々、妻のリハビリの様子を見学しようと思った。今どういう訓練をしているのかを退院までに何回か見ておく必要があるから。
9時からOT、11時15分からPTというスケジュールだったのだが、出遅れて8時半過ぎに家を出た。OTの途中から見学になるかなと思いながら車を運転していて、そういえばケアマネからデイサービスの施設を見学してどこを利用するかを決めて欲しいという話があったなということを思い出した。それで、急遽ユーターンして大井町の総合福祉センターに出向いた。ここは旧大井町役場のすぐ対面にあるところだ。着いてすぐ受付で見学を希望すると、係りの者が今いないので戻る間に自由に見てかまわないというので2Fを中心に見て回った。大広間や図書室、車椅子用のトイレなどを見学。なかなか綺麗な施設だ。朝の早い時間だったので、まだ利用者はあまりいない。玄関には続々と送迎車から利用者が降りてきてはいた。基本的には老人福祉センター事業が中心だからお年寄りばかりだ。
15分くらいして受付に戻ると担当者が戻っていて、デイサービスルーム脇の事務所で面談することになった。担当者は20代後半から30代前半くらいの若い女性で、いただいた名刺には施設長という肩書きがあった。名刺の裏には大井町にある療養型の病院の名が刷ってある。なんでもセンターの運営の一部を市がこの病院に委託しているのだとか。面談では、妻の状況を説明して通所サービスをどこで利用するか検討していること、出来れば退院後もリハビリを継続して行いたいことなどを伝えた。施設長の女性は親身にこちらの話を聞き、ノートにメモをとっていた。サービスの内容なども詳しく説明してくれ、1Fにある介助浴室なども案内してもらった。
デイサービス事業には、老人デイサービス、身体障害者デイサービス、心身障害者地域デイケア事業がある。妻の場合は老人デイサービスよりは身体障害者デイサービスになるのだが、法律では介護保険が優先されるため、身体障害者デイサービスは利用できず、介護保険での通所介護サービスを利用することになるとのことだった。これはふじみ野市の場合、身体障害者のデイサービスは食費等の実費のみ利用者負担ですむのだが、介護保険の場合はすべて一割負担になるためだという。自立支援法によって今後は身体障害者も一割負担になるはずなのだが、市が現在は便宜的にこうした区分けをしているとの説明だった。しょうがないといえばしょうがないけれど、サービスとして利用するのは身体障害者向けサービスなのに介護保険での適用というのはやや納得がいかないところもあるなとも思った。それなら介護保険の申請などせずに身障手帳だけでサービス受ければいいじゃないかという気もする。
市が自立支援法の施行に伴ってこれまでの身障者へのサービスを継続しているのは温情ある施策だとは思う。でも、以前から利用している身障者とこれから利用する人で利用負担が異なってくるのは、法の下での平等という理念からすると矛盾がある。ようは既得権を擁護しているだけなわけだから。
事務所でいろいろ話を聞いている間にも、奥のデイサービスルームでは続々と利用されるお年寄りが集まってきていた。このお年寄りの中に妻がいることを想像すると、けっこうしんどいものがあるなとも思った。それで通所リハビリの施設は他にないかどうかも聞いてみたところ、施設長の所属する病院でも行っているとのこと。国リハ退院後は、地元でのかかり付け病院も必要になるので、場合によってそちらに行ってみたい旨をリクエストした。妻のリハビリはけっこう進んできて機能回復も向上しつつある。これが自宅生活が始まった途端に落ちていくことがないようにしたいと思う。一生リハビリみたいなのは、大川弥生氏の著書にあるように誤った考えではあるようだけど、妻の場合まだ若いので、できれば継続して行う方が良いようにも思う。

「訓練人生?」
リハビリテーションは長く続けるほどよい」と思っている人が多いようですが、それは誤解です。
これは一つには機能回復訓練中心の考え方から、もう一つは「訓練を続けていないとせっかくよくなった機能がまた低下してしまう。だから機能維持のためにリハビリテーションが必要だ」という考え方からきていますが、こうしたことを続けているといわゆる「訓練人生」を作ってしまいます。
訓練人生とは、訓練さえ続けていればいつかは体が元どおりになる、と患者さんが思い込んでしまい、前向きに有意義な生活・人生を確立することから目を背け、いつまでも機能回復訓練だけを続けていることで、これは本来のリハビリテーションとはまったく逆のものです。
専門的なリハビリテーションは、必要な時にすばやく集中的に対応し、短期間に効果をあげて終了し、必要な時にはまた行うというように、もっとメリハリのあるものです。
新しいリハビリテーション (講談社現代新書)『新しいリハビリテーション』P207

今後、妻に必要になってくるリハビリは機能回復訓練よりも所謂社会適応訓練ということになってくるのだろうとも思う。家事訓練、調理実習などができる施設を利用できれば一番いいのだが。そうはいっても今は機能回復訓練もまだまだ必要だと思う。現在の4点杖歩行ではせいぜい距離的には50メートル程度というところだ。集中していないと転倒の危険もあるし、もともと動かない左足を体全体で無理やり持ち上げているような無理な筋力の使い方をしているのだからすぐに疲れてします。筋力をアップしできるだけ歩行をスムーズに行っていくためには、まだまだ長い月日が必要だ。今後もいろいろな施設を調べたりあたったりする必要があるのだろう。