高次脳機能障害者家族学習会に出席する

 国リハで行われる学習会、今回は「グループ討議による家族学習会」とのことで家族同士が困っている点、家族が介護している上での工夫、活用している社会資源等について話をするというものだった。
 開催趣旨は以下のとおり。

「グループ討議による家族学習会」は、「高次脳機能障害とは」「社会資源の活用について」の各講義をすでに聴講なされましたご家族を対象とさせていただいております。この学習会は、話し合いを通して高次脳機能障害について、より具体的に学習を深めていただく場として開催させていただいております。ご聴講いただいた講義内容をご参考に、それぞれのご家族が日ごろ患者様と接せられる中でお困りのことや、これからどのようにご家族として患者様に対応し援助していけばよいのかについて、ご家族同士でお話し合いをしていただいております。

 黒板には議事進行が以下のように書いてあった。

1.開会
2.グループ毎の自己紹介〜困っていることについて
3.中間のまとめ〜話し合いのテーマの決定
4.グループでの話し合い
5.話し合いのまとめと発表
6.感想 振り返り

 大会議室に二つのテーブルがあり、ご子息が患者であるグループと配偶者が患者であるグループの二つに分け、それぞれに看護師、PT、OT、ST、MSWが加わって行われた。テーブルに大きな模造紙がおかれ、そこに患者の発言内容を付箋紙にメモして貼り付けていく。こちらの推測ではあるが、たぶんテーマとなりそうなものを黄色、困っている点など現状の問題を青色、病状の改善点、社会資源の利用、介護上の工夫などをピンクでまとめているようだ。なんだか昔会議でよくやったKJ法を思い出してしまった。
 なんとなくだが、これは家族の学習会としての性格もあるが、一方で国リハが今後策定するのかもしれない、高次脳機能障害者への対応マニュアルのための様々なサンプル採取の一貫なのかもしれないなとも思った。
 私のいたグループは、私と、ご主人が脳卒中による重度の記憶障害をお持ちの奥さんと、やはりご主人が転落事故による身体麻痺と注意障害をお持ちの奥様の三人だった。お一人は、日中仕事外で仕事をされているので、ご主人を介護施設に入れて月8万なりを支払っているという。介護保険利用で8万ということは月に80万近くかかっているというわけだ。お一人は自宅で奥さんが一日24時間ずっと介護を続けている。それぞれ発症から6〜8ケ月を経過しているという。
 みんな様々な困難を抱えている。病状にしても、家庭環境、社会環境、それぞれが個別、個々であるとは思った。最後に代表して出席者の前で感想を述べさせられてしまったが、そのことを本当に率直に思った。ただ個々の様々な状況の中でもいろいろと今後の妻の介護、介助のための参考にできることがいくつかあることにはあった。それも述べた。本当に個々なのだ。ただ等しくいえることは、障害の患者を抱える家族はみな一様に不幸だということだ。それだけは言わずにいた。
 見渡すと出席しているのはすべてご婦人ばかりだ。男性の出席者は皆無。やはり男性は日中仕事をしているので、なかなかこうしたウィークディの集まりには出にくいということなのだろう。私だってなかなか時間を作るのは実は難しい。でも、今後の妻のことを考えると、どんなきっかけであり、とっかりであり、何か参考に出来るものはないかと必死な部分もある。だからわざわざ時間を作ったのだ。で、どうだったか。まあ参考になる部分もあった。でも患者同士の話としては、やはり病状も異なるだけに共鳴できる部分はあっても、重度の片麻痺と注意障害という妻の症状、仕事をしながら、子育てをしながら妻の介護をしていくという立場でいえば、ちょっと違うな〜という部分が逆に鮮明になってしまった部分も多かったような気がする。
 次はたぶん4月頃に開催予定という。参加できるかどうかはわからない。でも、これはこれでやっぱり必要なことだとは思った。
 終了したのは5時過ぎ。すぐに子どもを迎えに行きその足で医療センターにいく。道路は比較的空いていた。
 妻は明日手術ということで、伸び始めた髪を刈った坊主頭になっていた。右側がへこんだ坊主頭には、伸びてきた髪に慣れだしていた娘にはちょっとショックだったみたいだ。7時ちょっと前に病院に入り、8時には病院を出た。帰りに目白道路沿いのかっぱ寿司で夕食を食べた。娘は回転寿司を食わせておけば満足なんだから簡単でいい。しかし医療センターへの行ったり来たりがこれからしばらく続いていくわけだ。