転院

 国リハから国際医療センターに転院した。
 医療センターには11時に入院予約をしていたので、8時半過ぎに国リハに行く。今回は妻の状態も安定しているので、自分の車で搬送することにしていた。何かと用事をいいつけたり、妻の面倒を見させるために子どもも学校を休ませて同行させることにした。娘にはお前は日本一忙しい小学生だから大変だなと言うと、ニコニコとしていた。長野からも弟夫婦が来てくれるとの連絡もあった。ちょうど鶴ヶ島インターあたりという。わざわざ大町から来てくれる。有難いことだ。
 病棟に着くと、妻はちょうど朝食が終わった頃ところだった。病室で最後の片付けをしている時に、主治医の先生がちょうど巡回にきていたので挨拶をする。医療センターでの手術後の再転院については、電話連絡でよいとのこと。また外来からとなると面倒だなとも思っていたので、有難い。この次に入院してしばらくすると、この辺は桜が綺麗だとおっしゃっていた。経過が順調であれば、妻がここに戻るのは2月の下旬から3月上旬の頃。桜が見れるのはおそらく退院間際のバタバタする頃かなとも思った。
 会計で入院費の支払いをすませる。1月分は以下のとおり。2月分はまだ集計ができていないので後日ということになった。

入院料    :40041点
投薬料    :  844点
画像診断料  : 1104点
その他    :13400点
食事療養費  :67270円

合計点数     55389点
合計金額      166170円
食事負担額      24180円
合計          190350円

 厳しい金額ではあるが、12月分の話を人に話すとけっこう割安なのではとのこと。やっぱり国立だからなのかもしれない。
 病棟に戻って、担当看護師と話をしサマリー等もいただいた。エレベーター前で最後に担当看護師、看護師長、準看護師たちに見送られた。みな「頑張って」と声をかけてくれる。妻は小さな声で「行ってきます」と答えていた。
 医療センターには、11時ちょい過ぎに到着。外来の入院受付で手続きを行い病棟へ。7F北病棟。なじみのある場所だ。見知った看護師が何人も声をかけてくれる。驚いたことに妻の顔を見たとたんに「○○さん」と名前を呼びかけてくれた看護師もいた。二ヶ月前に転院した患者の名前を覚えている。ちょっとすごいなとも思った。もっとも事前に入院、治療計画等で確認済みなのかもしれないけど。
 1時30分過ぎから主治医と担当医から治療計画、手術についての説明を受ける。今回は、A4ワープロ打ち2頁のきちんとした手術説明書をいただいた。全開の減圧開頭術時は救命のための緊急手術だったので、術後の説明だったが今回は事前説明を丁寧にしてくれている。

○病名(術前診断)
 頭蓋骨欠損、脳塞栓による急性脳腫脹に対する減圧術後
○検査、画像診断の所見
 CT検査上、急性脳腫脹は改善しており、現在小康状態です。
 現在リハビリテーション中ですが、今後の社会復帰に、頭部の骨の一部が除去されていることは、多々支障が生じます。
○手術を洗濯する理由
 頭蓋骨欠損に対して手術は最も効果的な治療法です。当科では、頭蓋骨欠損と診断された患者さんには、急性脳腫脹が改善した場合 には手術を行います。その他の治療では、治癒しません。
○手術方法
 (頭蓋形成術)
 手術は、全身麻酔にて施行します。右の前頭頂側頭部の皮膚を切開し、皮下や硬膜外を良く消毒し、清潔な骨セメントを使用し頭蓋 骨の形成を実施し、それを周囲の骨にしっかりと固定します。硬膜の欠損があれば頭皮の筋膜を採取させていただき、硬膜に縫合し 硬膜形成手術を実施いたします。皮膚を縫合し、皮下に1本ドレーンを留置し手術を終了します。
○上記手術に伴う合併症の可能性
 頭蓋形成術に伴う術後合併症には、感染症、再出血、症状の悪化、痙攣があります。感染症は3〜4%に発症し、そのうち髄膜炎の発 生が最も頻度が高く(41〜89%)、脳膿瘍、頭皮切開部の感染があります。感染症が発生した場合は抗生物質で治療しますが、起因 菌によっては難治性の場合もあります。最悪の場合は感染を起こすと、せっかく手術でお入れした骨を取り外さないと化膿が良くな らないことがあります。また術直後に手術部位から脳内に出血が生じることがあります。出血が微量であればそのまま自然に吸収さ れるのを待ちますが、血腫が大きい場合は再度開頭手術を行い血腫を除去します(0.5%)。皮下に髄液が溜まる事があり、感染の危 険があるため種々の処置(皮膚に針を刺したり、背中から管を入れたりして髄液を抜く)をする事があります。手術前に脳の大事な 領域(運動、感覚、言語)への圧迫が強い場合には、手術により症状が悪化する危険性が高くなります。手術後痙攣、不穏や意識障 害を起こす可能性もあります。
 極まれなことですが、まったく予測しえないような病状、不整脈や静脈血栓症(手術中のエコノミー症候群のようなもの)をきたす 事もあり、それらの危険性はゼロとは言えないのです。
 万が一、不測の事態が生じたときには、可能なかぎり最善を尽くして治療を継続することをお約束いたします。
○術後の予定
 手術翌日にCTスキャンを施行し、術後出血の有無を確認します。順調であれば、翌日の昼位から食事ができます。徐々に起きていた だき、順調であれば数日以内に歩行が可能になります。抜糸を約一週間後に行います。上記の様々な合併症があるため、採血、CTス キャン等の検査を頻回に施行する必要があります。

 この他に場合によって輸血療法を行うということで、輸血療法・特定生物由来製剤使用に関する説明、CT検査に関する説明などもいただき、すべてに同意のサインをした。最新医療を行う病院だけにいわゆるインフォームド・コンセント*1が行き届いているという印象だ。もちろん病院側にとっては何かあった場合の保険の意味合いももちろんあるのだろうとは思う。
 途中で主治医の先生は別の緊急の連絡が入って中座されたが、その後は若い担当医師の先生からの説明も受けて最後に入院治療計画書にサインをした。治療計画書では入院期間は約2週間と明記されている。2/14日入院だから2/28退院。ジャスト2週間で2月いっぱいこの病院にいるということになるのだろう。となると2月の4週目は所沢への再転院手続き等に追われることになるのだろうな。
 医師の説明の後は、病院近くの100円ショップでこまごまとした買い物をした。この病院では患者の食器類(スプーンとか箸とか)を洗ってくれたりということはないので、食器洗いの洗剤とかも必要だし、食器を置く簡単な籠や紙ナプキン、食事の際に必要になるエプロンをかけるハンガーなどを購入した。それから山のようにもってきたタオルや衣類や紙オムツ類で必要なものを看護師に聞きながら整理して収納したりという作業。
 弟夫婦は3時過ぎに病院を後にした。私と娘は7時半近くまで病院にとどまった。夕飯は、自宅近くまでもどって娘の大好きな回転寿司。そういえばここんところ外食が続いているなとも思った。最後に家で飯炊いたのはいつのことだろう。

*1:informed-consent(説明と同意)のこと。患者が自分の病気と医療行為について、知りたいことを“知る権利”があり、治療方法を自分で決める“決定する権利”を持つことをいう。