紀子さん懐妊〜皇室典範改正〜天皇制

http://www.asahi.com/national/update/0207/TKY200602070313.html
 秋篠宮妃紀子さんが懐妊だという。39歳、高齢出産だな。これで今国会に提出された皇室典範改正論議にもいろいろと影響がでてくるのだろう。ここのところ皇室典範改正に消極的、あるいは慎重論を唱える勢力が増えてきているようだけど、伝統論として男系主義を言うっていうことは結局この人たちの根底には究極の女性蔑視観があるように思えてならない。ようは女性は世継ぎの男の子を生むための道具みたいな意識だ。このへん男女平等の世の中、世の女性はどう考えているんだろう。
 だいたいにおいて男が生まれるか女が生まれるかは確率的には半々のはず。それを男系相続のみで続けるとなれば、戦前までのように側室制度(ようはお妾さんね)設けて天皇がせっせと男の子が生まれるまで、がんがん励まなくていけないわけで、今日の男女平等、一夫一婦制と相容れないわけだ。それをなぜ女性天皇や女系相続を認めないのだろう。もっとも、戦後の天皇制は所謂大衆天皇制というやつで、皇室は国民のアイドルであり、理想的な家族の象徴でもあるから、妾に子ども作らせたりしたらイメージがえらく崩れてしまうとは思うけれど。
 男系相続の根拠は、日本の古来からの伝統とか万世一系というのが理由の一つになっているようだけど、そもそも万世一系という概念自体、明治国家の成立時に天皇制支配のために無理やりでっちあげた極めてイデオロギッシュなものじゃないのか。天皇統治の正当性、正統性のために、神話を無理やり歴史的事実にしてまとめあげたものだと思うのだが。
 そもそも明治以前、民衆の間では天皇なんて存在は知る由もないものだったんだと思う。ようは支配者にとっての自己の権力を認めさせるための権威装置でしかなかったはず。幕末ものの歴史叙述とか読んでいても、それこそ司馬遼太郎なんかの小説とか読んでいても、天皇とか天皇主義なんてものは急進的な思想家の間で話題にのぼっていただけ。おそらく数百年もの間、天皇なんて存在は支配者の間でだけ存在していたというだけのことだったんだと思う。それをさあ、日本はずっと天皇を頂点において国家形成されていましたっていうのは無理ありすぎるわけだし、そういうのは多分明治になってから無理やりでっちあげたもんだと思うわけだ。
 まあこれで紀子さんに目出度く男の子なんか生まれた暁には、次の次の天皇は次男の息子がなるということになるのかな。なんか相続を巡るトラブルみたいで、いかにも大衆天皇制にあっては、現代の家族の象徴としてのまさしく象徴的な事件になりそうだな。皇室典範の改正とかもさあ、長女に継がせたい長男一家と、男系相続を根拠に三男を世継ぎにしたい次男一家の相続争いみたいなドメスティック・ドラマみたいな展開になっていくんだろうか。
 でもさあ、いい加減みんな気づこうよ。天皇制って今時必要なの。これだけ社会保障とか削られてさあ、やれ自助努力だのなんだのといわれている時に、とりあえず昔から続いているといわれている、ただそれだけの一家を税金何百億も使って養う必要があるのかどうか。まあ天皇家も相当な資産持っているんだから、自分たちだけでやってよっ、て言いたいところなんだけど。


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