ジョニ・ミッチェル

HITS ジョニ・ミッチェルはベスト盤「HITS」から8曲。「chelsea mornig」「both sides,now」「free man in Paris」「You turn mi on I'm radio」「Help me」「The circle game」「Big yellow taxi」「carey」。アコースティック色の強い初期ものだな。この人とのつきあいは長いな〜。ある意味じゃ一番好きな女性ヴォーカリストかもしれない。とにかく芯の強さ、意思の強さを感じさせる。線は細く(体型的にも)、内面の繊細さが滲み出てくるかのような神経質それでいてタフ、インテリ、芸術家肌。尊敬に値する女性の具現化されたスタイルみたいな感じ。まあ一言でいっちゃうと、最近はとにかくよく使われる言葉だけど「凛とした」存在だな。バンドの「ラスト・ワルツ」で初めて彼女が歌うのを観た時には、容貌的にはちょっと険しすぎとも思ったけれど、それでもやっぱり魅力的だよ。ディヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、ニール・ヤングジャコ・パストリアスなど早々たるアーティストと浮名を流した恋多き女性なんだけど、やっぱり魅かれるんだろうな、この人に。そばにこういう人がいたら、やっぱりついて行きますみたいな感覚になるもの。それにこの人、ただ単にタフなだけじゃない、女の弱さ、可愛らしさ、愛おしさみたいなものが、多分身近にいるとあふれ出しているんじゃないかなとも思う。
♪♪助けて〜 また恋に落ちちゃったみたい♪♪ 〜help me
 みたいにしれ〜っと歌えちゃうところがいいんだよな。まあ、自分の場合単にインテリ女に弱いっていうところもあるにはあるんだけど。それでいてこの人は自分の女女した部分をきちんと客観視しているところがある。このへんが何ていうのだろう、ローラ・ニーロみたいにメソメソしていない、カラッと突き抜けた部分があるんだな。ローラ・ニーロも大好きではあるんだが、彼女にはなんていうんだろう、女性の生理的な感覚みたいなものがものすごく重く彼女の音楽に影響を与えている。エキセントリックな病的優等生少女の憂鬱みたいな感覚があるんだけど、ジョニ・ミッチェルにはそういう少女的なものとは無縁の女を感じさせる部分がある。まあ思いつきの感想だけどね。
 あと音楽的なセンスのよさだな。彼女がジャズ・ロックに走った頃のアルバムとか聴いても趣味のよさみたいなものを感じるものね。「逃避行」とか「ミンガス」とかは名盤だよ。考えてみればジャコ・パストリアスウェザー・リポートよりもジョニのアルバムで良く聴いていたような気がするな。
 初期ものでは彼女のアコースティック・ギターの音色の美しさ、独特のドライブ感が大好き。オープン・チューニング全開でほんとに美しい。一説にはちゃんとしたコードがほとんど押さえられなくてこの弾きかたになったみたいな話があったけど、まあそれはそれとして彼女の奏法が実はCSN&Yに与えた影響が大などではと密かに思っているのだけど。「chelsea mornig」のギターはすごすぎるな。スティーブン・スティルスが弾いているみたいだよ(実際そうだったりして)。
Both Sides Now 青春の光と影 逃避行