妻の面会

・1/16日(月)
 夜8時少し前に病院に行く。面会時間は7時までだし、7時半には入り口の自動ドアとかも閉まってしまうので、職員の通用門から入る。こういう時間帯に来るのは二度目かな。さすがにこのくらい遅くなると看護師とかも露骨にではないけど迷惑っぽい顔している。
 妻は普通の状態。電話とかでは早くきてを連発する割りには、けっこうそっけない対応だ。別にとりわけ有難がってくれろというわけでもないけど、あまりにもそっけない態度なわけでちょっと拍子抜けする。顔の表情も能面ぽくなっているのとか、こうした感情の抑揚がない点も、たぶん障害の影響なんだろうとは思う。前頭葉をやられると生きる気力がなくなり無気力、無表情になっていくというのを何かの本で読んだ覚えがあるが、妻にもそういう影響があるのかもしれない。この日は15分くらいで退散する。夕食は家の近所のラーメン屋で。
・1/18(水)
 今日は半休をとって病院で予定されている高次脳機能障害の講演会及び学習会に出る予定でいたから、この日は面会をパスする予定でいたのだが、7時過ぎに会社を出て車で関越とばしている時に妻から電話があり、洗濯物とかもたまっているとかいうので急遽行くことにする。子どもを迎えにいってから病院へ行くので7時45分頃。事前に遅くなる旨ナースステーションに連絡いれるのだが、取次受付にももう名前を覚えられているみたいだ。完全に常習者だな。電話に出たのが看護師長さんだったので、「手短に願います」と釘をさされてしまう。
 月曜もそうだったけど、この日も3階病棟にエレベータで登ると入り口付近で妻は車椅子に乗って待っている。でも例によって無表情で嬉しそうにするでもなく迎えてくれる。汚れ物を持ってきたユニクロの袋に詰め込み、恒例の足のマッサージと左手のマッサージをして8時ちょっと過ぎに病院を出た。
 足のマッサージは面会時には必ず行っている。最初に動く方の右足を甲から足首にかけてさする。次に動かない左足を入念にさすり、足首をぐるぐる回したりしながら揉み解す。左足にはさほど拘縮を認められないのだが、あんまり感覚はなさそうだ。日曜日からは両足を伸ばさせて、間に鏡をおいて娘に固定させてから、右足首、左足首を同時にぐるぐる回す運動を数分行うことを始めた。妻には動くほうの右足首が移った鏡を見ているように言う。いわばクリミラーの足バージョンだ。鏡に映った右足は左足が動いているような錯覚に陥るわけで、神経回路を呼び戻すことを期待しているわけだ。やっていても、妻は手の時ほど疲れを訴えない。
 そして最後に動かない左手のマッサージ。そしてやや拘縮がはじまっている五本の指を伸ばすように、指を一本ずつ関節のあたりをさすったりする。左手の拘縮がやはり一番ひどい。どうかすると曲がった指はまっすぐには伸びない。しかもやや力をこめて伸ばしたりすると妻はけっこう痛みを感じるようだ。通常はまったくといっていいくらいに感覚がない左手だから、この痛みはかなりの部分視覚的な痛みではないかと推測している。