あと一日

 仕事も今日と明日で最後だ。通常12月は第二週を過ぎると急に暇になるはずなのだが、児童書を中心に注文が集中している。二つの物語が来年映画化されることが決まっているので、大きなロットでの注文が続いている。普通はこういう大量注文は前もっての予定がたっているはずなのだが、どうにも先が見えない。その日になってみないと出荷量がわからないという日々が続いている。
 昨日は見舞いを休む日と決めていたので、仕事が終わって後で職場で仲間と軽くビールを飲んだりもした。以前はよくこういう日々があったものなんだが。その後、部下の一人を連れてふじみ野のシュワルツカッツへ行った。住宅街の中でひっそりとやっているショット・バーだ。しょぼい仕事絡みの話を肴に11時頃まで飲んだ。
 今日は久しぶりにフォークの練習をしたり、モノ出したり、在庫調べをしたりとけっこうタイトに現場仕事をした。夕方からの会議がけっこう長引いたが7時前に会社を出てから慌てて病院に向かった。今日は二回も妻から仕事中に電話があった。なんとなく妻の行動パターンは障害の影響なのだろう、幼児化してきつつあるなとも思う。たいした要件もないのに電話されるものけっこうシンドイところがあるのだが。
 妻の話では、今日は主治医の回診があったという。妻は自分の病状を聞き、リハビリで麻痺した左手や左足が元に戻るかどうか問うたらしい。医師はストレートに片麻痺が全快する可能性はないと告げたとのことだ。妻は少なからずショックを受けた様子だった。それはもう私としてはすでに確認済みのことではあったけど、リハビリを続ければある程度は機能が回復する可能性もあるのだからと彼女を励ました。そう言うしきゃないじゃないか。
 医師が妻に対して率直に病状を説明することには何ら問題はないとは思う。それでも家族としてはなんとか数パーセントかもしれない可能性を信じて、彼女にやる気を持たせていく以外にはないのだ。