転院先

 国際医療センターの主治医より午前中、電話がある。この病院は主治医は各科の責任者がなり、その下に担当医が各患者をみるということになっている。手術前の脳神経内科では主治医の先生からの説明を受けたことがあり面識があるが、脳外科のこの先生とは初めて。電話の声は物腰の柔らかい感じだ。電話の内容は川越の病院から受け入れが整ったという。こちらは所沢の病院を入院予約していることを担当医には説明してあったのだが、言われてみれば川越の病院に断りの連絡をしていなかった。主治医からは今後のこともあるので、川越の病院にお詫びの連絡を至急入れて欲しいとのことだった。しかし何から何までこちらでやらなければならないのだ。患者を持つ家族は辛い。そのうえで所沢の病院は来週中には入院可能ということであったが、詳しい日にちを確認して欲しいという。

 川越の病院にはすぐに電話をいれた。相談室の担当者にお詫びをしたが、正直どちらの病院がいいのかわからない。そのことを率直に話してみた。もとより所沢にあたったのは、この病院に電話したところ、年齢的にみて所沢のほうがという話を聞いたからだ。それまではこの病院の存在すら知らなかったのだから。ただしなんとなく所沢は最高でも三ヶ月程度しかいられないが、川越だと早期リハビリでも最長六ヶ月入院可能だという。妻の状態と今後のリハビリの進捗状況とかが客観的に分からないのだから正直判断のしようがないのだ。

 リハビリの途中でこれ以上の回復が見込めないとして自宅療養を言い渡されたらアウトである。それなら最初から長期に診てくれるところがいい。でも、今の私にはそれを判断する術がない。それで川越の病院には再度、医師と相談のうえで返事をするとした。この相談員は率直な意見を述べてくれるうえに、こちらの立場にも配慮してくれていることが電話でも伝わってくる。好感を持てるし、私のようにこと病気や介護、リハビリ等について右も左もわからない者にはとても有難い。たぶんケースワーカーの方なのだろう。だから相手の身になってものを考えたり話をしてくれるのは職業的なことなのかもしれないけど。

 次に所沢の病院に電話をして、入院の日にちが確定したかどうか聞いてみたのだが、現時点ではまだ決まっていないという。それでとにかく国際医療の先生に再度連絡を取り、病状について、転院先について、いろいろお話を伺いたいとして翌日の面談をお願いした。

 午後になって所沢から入院の日にちが決まりましたという電話がある。12日の午前中とのこと。それで再度、国際医療センターに電話して報告した。「ご希望の病院に決まってよかったですね」とのこと。いやそうじゃないんだ、別に希望していたわけじゃなく、そちらから紹介された病院で案内されたんですけど、という言葉を飲んで、改めて翌日の面談をお願いした。その後すぐ川越に電話をして状況が変わったので、今回はお断りをという話をした。ただし所沢の後に転院の可能性もあるので、その時はよろしくお願いしますと話した。先方は快く対応してくれた。
 
 夕刻から会議があり7時半まで。その後、子どもを迎えにいったのだが、8時半近く。大顰蹙ものだし、園にも子どもにも申しわけなく思う。