フランス暴動

 10月末からフランス全土では若者を中心とした暴動がおき、各地で車が燃やされるなど大きな事件となっている。フランス政府は暴動鎮圧のために夜間外出禁止令をうちだしたという。その背景には、若年層の高い失業率による雇用不安や人種のるつぼと化している移民社会での軋轢などがあげられている。
http://cnn.co.jp/world/CNN200511080001.html
http://d.hatena.ne.jp/Montferrand/20051107/1131351753
 先進国フランスにあって夜間外出禁止令とは驚きである。それだけ事態が深刻なのだろう。1960年代末期の学生運動が盛んな時期にもうこんな治安政策はうちだされなかったのだから。暴動自体が一定の政治性をこめたものよりも偶発的かつ、より直裁的な暴力行動であることが特筆されるのかもしれない。
 しかし、若年層の失業率の高さと社会不安の深刻化。どこかで聞いたような話ではないか。そう、日本では日々現実化、顕在化しつつある問題だ。仕事がない、社会から認められないことへの怒り、脱力感、失望感、それらが突発的な暴力行動として現われる。これは今後日本のどこで起きてもおかしくない問題なのかもしれない。
 雇用の安定。それはイコール生活の安定であり、20世紀資本主義がめざしてきたものだ。それが今大きく揺らいでいる。グローバリズムや競争力を高めるという名のもとに現在進行しつつある構造改革は、貧富や階層・階級差を増大させている。そして若者だけでなくすべての世代の雇用を不安定にしているのではないか。日本でも非正規社員の増大は雇用の安定、失業率低下にけっしてつながらない。
 フランスでの事態は対岸の火事ではけっしてない。明日、日本のどこかで火の手があがってもけっしておかしくないのではないか。