「幽霊と未亡人」

 同じマンキーウィッツのコメディ&ロマンスもの。20世紀初頭のイギリスでのお話。美しい未亡人がロンドンから海辺の町ホワイトクリフの一軒家に引っ越す。その家には船長の幽霊が住み着いている。マッチョで辛らつな皮肉屋でもある船長はどことなく頼りない未亡人を見守りつつ二人はいつか愛し合うようになる。てな、まあ古典的なメロドラマなわけだが、この話確か60年代あたりにTVドラマとしてリメイクされていたような気がする。
 未亡人役はジーン・ティアニー。古き良き時代の典型的なハリウッド美人女優っていう感じだな。そして幽霊船長役はレックス・ハリソン。芝居がかった大時代的な演技はシェイクスピア役者=舞台俳優である彼の真骨頂っていう感じだ。しかもそこそこ色気もあってとてもカッコよいのだな。後のヘンリー・ヒギンズの原点がここにありっていう感じだ。
 他に気がついたことでは、音楽をヒチコック映画や「タクシー・ドライバー」でも有名なあのバーナード・ハーマンがやっている。幽霊ものだから少々おどろおどろした音楽が効果的だということなんだろうな、もうまさしくバーナード・ハーマンって感じよ。
 また、未亡人の子ども役で子役時代のナタリー・ウッドが出ている。この人も芸歴古いんだな〜と妙なところで関心してしまった。
 映画自体の評価としては、う〜ん、なんていうんだろう、ある意味こてこてのメロドラマだとは思う。未亡人と幽霊というある意味特異なシチュエーションが総ての映画っていうところだろうか。でも嫌いじゃないけどね、こういうの。
 最後に未亡人をだます妻帯の児童文学作家の色男になんとなくピーター・パンの作家ジェームズ・バリを連想してしまったのは、観る私の人間的性根の悪さかな。