『震度0』を読む

震度0 今や警察小説の第一人者となった横山秀夫の最新作。この手のミステリーでは珍しく朝日の書評でもとりあげられていたっけ。
 阪神大震災のさなか700キロ離れたN県県警本部の警務課長の失踪を巡って巻き起こる県警幹部の対立。複数の登場人物(県警幹部)の一人称語りによって綴られる展開。『半落ち』でとられた手法だけど、今回は少々こなれていない印象だな。途中でどうにもこんがらがって何度も登場人物を確認したのは、私の頭の悪さかな。
 警察小説ではこの手のキャリア同士の対立、キャリア、ノンキャリア同士の対立がとりあげられる。警察社会はある種究極の官僚社会だから現実にもこういう対立図式がずいぶんとあるんだろう。でもこの通りだとしたらだけど、もう少しちゃんと仕事をしてもらいたいもんだね。それと警察のキャリア組のことだが、彼らはまさに警察社会の超エリートなんだろう。でもさあ、こいつらってある意味じゃ、財務省や外務省、あるいは通産とかに入れなかった連中だろう。エリート官僚としてはB級の部類に入るんじゃないのかな。なのに出世の階段登るためだけに権謀術数しててよいのかな。あるいはB級だからこそ、頂点願望がより強いから。とにかく仕事しろよな。
 いい加減、キャリア、ノンキャリの問題とかがずいぶんといわれているんだから、いっそ構造改革の一環でこれやめちゃえばいいのにとも思う。県警本部長にしろ、あるいはトップの警察庁長官、警視庁長官をノンキャリから出してみたら警察組織もけっこう変わるじゃないのかな。そうだ、民間人の登用とかもありかも。
 それとこれもよくいわれていることだけど、警察ほど身内意識が強くて、また天下り先を確保している官僚組織もないみたい。これも構造改革で取っ払ってくれないかな。
 本のことからちょっと離れたな〜。でもこの本面白かったです。一気に読ませてくれるのはやっぱり力量だな。