選挙終わる

http://www.asahi.com/politics/update/0911/009.html
 予想通りというか、それにしてもというべきか自民党の大勝利となった模様だ。選挙好きの自分もさすがに今回はある程度の予測がついていたので選挙番組一切見ることなく、近所のスーパー銭湯に行っていましたね。小泉、武部、神崎とかのニコニコ顔など見たくはないわさ。
 それにしても自民党296議席公明党を加えた与党で過半数を超える327議席を獲得とのこと。地滑り的大勝利ということだな。小選挙区制というのはこれがあるんだよね。イギリスとかの例でもそうだけど、追い風に乗った政党の一人勝ちになるということだな。最もこれだけ勝つとゆり戻しみたいなものがあるのだが、日本的政治風土だとこれが参院選になるんだろうな。
 自民党の大勝利、どう分析すればいいんだろう。なんつうか思考停止状態だな。小泉の郵政民営化一本に絞ったイメージ選挙が成功を収めたということだろう。それにしてもというか改めて思うが、この国の政治的民度の低さを痛感するな。結局のところこの国には民主主義が根付いちゃいないっていうことが証明されちゃったんでねえの。
 今、この国のおかれている状況はけっこうシビアなものがある。破綻寸前の国家財政、少子高齢化に起因する年金問題社会保障、対米追随外交と東アジア外交の硬直化などなど。どれ一つとってもここ最近、突発的にでてきた問題じゃない。少子高齢化問題なんて20年、30年前から予測できたことじゃないか。それらをすべて先送りしてきたのはいったい誰か。自民党を中心とした保守政府とそれを支え続けてきた官僚たちじゃないのか。
 政治はすべて結果責任でのみ問われる。政治学においてたぶん一番先に学ぶ初歩の初歩。政策遂行の結果において政治は評価され、失政の場合は政権交代して別の勢力が権力を握る。その繰り返しによってゆっくりと、ゆっくりと政治はよりよいものになっていく。そいういうものが民主主義なんじゃないのか。この国にはそういう視点が欠けているんだな。この国の民には永久健忘症が蔓延している。だから政治の過去は一切問われることはない。イメージとしての今とおよそビジョンなき未来への言葉だけに流されていく。
 さらにいえば、この国の民にとって改革とは体制内改革でしかない。「自民党をぶっこわす」という党首の言葉は耳に心地良い。でも一番簡単な「ぶっこわし」=リストラは、政権交代で在野に降りることなんだよ。そんな自明のことがわからないということ。
 今回の自民党の勝利を前にしては、なにをいっても負け犬の遠吠えみたいな風になってしまうな。しかしこの選挙結果のもとでなにがおきるか。たぶんに国民生活はよりシビアな4年間が始まるということだろう。そしてその4年間は、今後の10年、20年の日本の将来を規定していくような気もするな。
 かって中曽根内閣の地滑り的勝利があった。今回はそれに次ぐものらしい。あの中曽根内閣、国鉄民営化に象徴される行財政改革や民営化。その先になにがあったかをもういちど思い出そう。まだ歴史的な評価は定まっていないのかもしれないが、私にいわせればあのバブルの盛衰とそれに続く金融破綻、あれはみんな中曽根内閣以後のことであり、さらにいえばあの時の民営化や自由化に起因しているんじゃないかということだ。
 だからこそ今の小泉流の民営化論に簡単には乗れないというのが私の本音でもある。民営化論者が口にする耳に聞こえの良い言葉の数々「民営化すれば、民間活力を導入すれば、自由化すれば、うまくいく。効率的な運営、景気が回復する」うんぬん。たぶんこの手の言説の根底には、レーガン時代のアメリカ経済を支えたサプライサイド経済学の思想あるいは思考過程があるんだと思う。でもね、市場の流れにまかせればうまくいくっていうのは、きわめて古典的な経済思想だよね。歴史をちょこっと紐解けば、その結果がどんな風だったかってのは歴然としているし、けっして「神の手」なんてものはないんだよ。
 少々荒っぽい論調だけど、民営化、市場至上主義(そんな言葉はねえな〜)といっても市場の主体が人間であること。人間は欲深く、過剰に流れていくわけだから、公的な規制がなければ、予定調和的にうまくいくなんてことはありえないだよね。
 レーガン以降のアメリカ社会は貧富の差が拡大した。日本でもそれがじょじょに広がっているような気がする。勝ち組、負け組みの存在。失業率の増加、ニートとかいう定職につかない人々。今、彼らを親の世代が経済的に支えている。でもその親の世代があと数年で年金生活者になっていくんだよな。そこに社会保障費用や年金の減額、それらが自己責任の名のもとに襲いかかる。けっこうシビアかつみえみえの破綻社会が現実化していくんじゃないのかな。さらにいえばだけど、ニート諸君にはまだまだ自分たちが、「負け組み」であるという実感も自覚もなさそうだ。
 市場を優先した経済思想からは雇用や需要はけっして創出されないと思う。雇用は一時雇用が拡大するだけだよ。需要はどうか。貧富の格差が増大する社会で、需要は高まるだろうか、????だよ。
 あんまり頭が回らないから、どれも発展しない思いつきだ。でもね、これだけはいえる。歴史を学ぶことがない人々は、政治的健忘症のまま、イメージで投票していくってことだ。それでも投票行動するだけましなのかもしれないけどね。