宮部みゆき『誰か』

 年末に古本屋で購入、本棚に積んどいたのを読んだ。帯に「著者2年ぶりの現代ミステリー、待望の書き下ろし」とある。奥付初版は2003年11月25日。2年ぶりとあるのは『模倣犯』以来ということになるのだろう。
 読後感は一言でいえば、軽め。佳作といったところか。『理由』(たぶん宮部文学の最高傑作か)『模倣犯』と力作が続いたから、いささか期待はずれの感ありだ。いや、この人のいつもの力量に必要以上の期待感を抱いているからそんな感じがするのだろう。まあ楽しめたほうだと思う。ストーリィ、構成、人物造詣そういった部分では、前2作のような骨太な力作ではない。でも、この作者は確実に文章がうまくなっている、そんな気がする。いつも力技ばかりだったから、こういう軽めの中篇もよいのではないかと思う。
誰か ----Somebody