市民運動の崩壊

 今回の合併騒動で思い知らされたことだが、上福岡にしろ大井町にしろ市民運動あるいは民衆の自発的な政治意識の高まりみたいなものはおよそ皆無になっているということだ。
 運動の担い手はあいも変わらず共産党のみだ。そして上福岡の市長選にしろ大井のリコール運動にしろ敗北の遠因はそのまま共産党の運動の限界でもあるわけだ。彼らの運動はいくつかの文言でかたずけられてしまう。「あれは共産党だから」「アカ」あるいは今風にいえば「サヨ」みたいなことで。
 '70〜'80年代、市民運動がもっと盛んだった頃には、無党派層による運動の立ち上げが随所にあった。市民運動の成功はそうした無党派市民運動体と共産党組織力がうまく婚姻した時にあった。しかし例えば上福岡市長選にしても現職への対抗馬は非政党系の運動家でもなく、あるいは文化人でもなく、明らかに共産党の影響下にある人物だったようだ。これは単に共産党が独善的に市民、無党派層の自発性をつぶしているわけでもなんでもないと思う。もはや無党派層の自発的な運動は崩壊しつくされているのではないかと考えてしまうわけだ。
 それでは今、無党派、非組織をうたって政治の場で躍り出てきている比較的若手の政治家達はどうか。あれはたいていの場合、松下政経塾出身者たちのような、ある種の政治的上昇志向主義者たちだと思う。彼らはある意味、体制派、あるいは体制の中でのし上がろうと考えている人々だ。