政治的アパシーと民主主義

 ここ数年の国政選挙にしろ、各種自治体選挙に都市部での低投票率が顕著になっている。投票行動を放棄した人々は明らかに自覚的に投票を忌避しているわけではなく、生活に埋没し政治参加よりも目先の快楽や要求を優先している。彼らは政治的アパシーに包まれている。「政治のことはわからない、関心がない、どうせなにも変わらないんだから私たちが投票とかしなくてもたいしたことないでしょう」といった意識だ。
 こうした政治的アパシーは’70年代頃から喧伝されるようになってきた。そういう意味ではすでに30年以上もの間そうした風潮は社会に浸透してきている。今、30〜40前後の人々はそうした雰囲気の中で育ち、人格や社会意識を形成してきているわけだ。政治意識の希薄な彼らは、支持政党無しという多数派を形成してはいるが、組織化されることがなく、まさしく低投票率の担い手となっている。