上野精養軒で食す

 家族三人で上野で遊んだ。

 1時半過ぎに上野のパーキングセンターに着く。15分くらい待ってようやく車を止められた。

 いつもだとエレベーターに載って上野公園の傍にある歩道を歩いて文化会館前に出れるのだが、工事のため歩道が使えない。結局、京成の駅まで歩いてぐるっと回って上野公園に入る。

 やや上りの公園内の道を車椅子を押して歩いていくと左手の不忍との間に上野精養軒がある。上野といえば精養軒ともいうべきこの歴史あるレストランで一度も食事をしたことがなかったので、ちょう昼食もとらずに来たこともあり、入ってみようかということになった。

上野精養軒 【公式サイト】

 ここには結婚式場やきちんとしたフランスレストランがあるが、まあお上りさんは、カフェレストランの方で軽食か喫茶というのが普通のようだ。カフェランランドーレの方は、昼をだいぶ回った時間でも満席で外で15分くらい待たされた。

 中に入ると、なにか老人の団体さんがおり、あちこちのテーブルで相当なお年の方々がコーヒーや紅茶で談話されている。何席かでは瓶ビールが数本、男性老人が少し大きめの声で話をしていた。こういうのがあれば、昼過ぎでも満席になるのも仕方がないかとは思った。少子高齢化社会である。

 席は遠くにに不忍池も木々の間から見ることができる窓側の席。カミさんと子どもはやや高めのプレート、自分は一番リーズナブルで、割と有名なオムライスを食した。

 上野でのちょっと高めの昼食。庶民の細やかな贅沢というところだろうか。

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液晶テレビを買う

 衝動買いではなく、適当に吟味した結果、購入したのはこれ。

LG 43V型 液晶 テレビ 43UK6500EJD 4K HDR対応 直下型LED IPSパネル 2018年モデル

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 で届いたのがこんな感じ。

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 LGのテレビは初めて。タイムセールで4万を切る価格で出ていたのに抗し難かった。アマゾンで見ている限りでは、43型液晶だとパナソニックが一番らしいのだが、2万くらい価格差があるとなるとやっぱり考えてしまう。

 白物家電は国産というある種の信仰もあるにはあるけど、ことテレビに関しては世界レベルでいえば、サムスンやLGが圧倒的なシェアをもっている。さらにいえばハイセンスのような中華製もどんどん品質はあがってきている。安かろう悪かろうではなくなりつつあるのだろうと勝手に思っている。

 今回のテレビはカミさんの寝室用である。今使っているのは東芝32LH100。思えばもう13年も前になるのだ。

さらに液晶テレビも - トムジィの日常雑記

 カミさんが半年ぶりに退院してきたタイミング。さらにはワールドカップのドイツ大会があった時である。結果としてロナウドの大会だったとか、ジーコ・ジャパンは低迷とか、まあいろいろ思いは巡る。多分だんだんとサッカーへの情熱が失せてきた頃だったかもしれない。

 当時のことでいえば、前年に妻が病気を発症して多分一番しんどい時期だったのかもしれない。ようやっと退院して自宅での妻の介護生活が始まり、思案しつつも前に、前にと諸々進めていかなくてはならない時期だったと思う。

東芝の32LH100はヤフオクで新品を買った。13万くらいだったと記憶している。ハードディスク内臓で当時の感覚ではとにかくデカイという印象だった。10万以上のテレビなど、清水の舞台からみたいな感じだったが、当時の液晶はまあけっこうした。32型でハードディスクなしでも10万前後したように覚えている。

  とにかく退院したばかりのカミさんに、少しでも快適な療養生活を送ってもらおうみたいなことを考えていたのだと思う。ハードディスク内臓にしたのは、とにかくカミさんがテレビでドラマやバラエティをビデオに録り溜めて収拾がつかなくなることが多かったから。

 片麻痺ではビデオの取り扱いなど難しいだろうから、リモコンだけで操作ができる内臓ハードディスクは必須だろうと考えた結果だった。160ギガは当時としては普通だったし、まあギガだしいいだろうくらいい思っていたのだが、満杯になるのにはいくらも時間がかからなかった。それからはHDD内臓DVDレコーダーやらなんやらを何台も買うはめになるんだけど、それはまた別の話だ。

 さてと今回のLGのテレビだけど、まだ設置したばかりなのでよくわからないけど、外部機器との接続もHDDはUSB 、レコーダーとはHDMI、ネットもWi-fiだしと割と簡単。小時間で設定は完了だった。

 第一印象はとにかく軽いということ。こんなに軽くていいのかというくらいに軽い。カミさんの寝室がある二階まではダンボールに入っていてさすがにデカイので、子どもと二人で運んだけど割と簡単に運べた。13年前の東芝は、宅配のドライバーに手伝ってもらってけっこう大変な思いをして運んだ記憶がある。

 色味とかそのへんはまあ普通にキレイである。13年前のテレビに比べればはるかに美しい。反応も早いしとにかく便利である。このテレビはアマゾン独自仕様品とのことで、ファイアスティックなしでもアマゾンプライムビデオが観ることが可能だ。これで我が家にある4台のテレビは全部プライムビデオの視聴が可能。このへんも便利なんだが、残念ながら自分自身はテレビを観る暇もないままである。

 まあ今回のLGテレビはカミさん用。願わくば安かろうでもせめて5年程度は故障なくもってもらいたいと思うのだけれど。

ダンスウィズミーを観た

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  矢口史靖の『ダンスウィズミー』を観てきた。

 子どもが何か映画を観たいというので、『ライオン・キング』は嫌。『ダンス・ウィズ・ミー』ならいいというと、不承不承いいということになり、家族三人でレイトショーで観た。まあ矢口史靖だし、さほど外れはないだろうとか、矢口初めてのミュージカルというのに興味もあった。

 観た感想はというと、まあ面白かったけど今一つというところかな。脈絡もなくすぐに歌いだす、踊りだすミュージカルを逆手にとってとって、催眠術で音楽を聴くと歌いだす、踊りだすという設定の必然性が実はあまり面白くない。ミュージカルとはしょせんそういうものなので、これを21世紀にやる意味があるのかということだ。

 この手の必然性を逆手にとってミュージカルを仕立てるというのは、多分70年代から80年代だったら良かったかもしれない。陽気に歌い踊る、基本ボーイ・ミーツ・ガールであるミュージカルにドラマ性、社会性がないという批判から、社会派ミュージカルが生まれた。かの『ウェスト・サイド・ストーリー』と『サウンド・オブ・ミュージック』だ。

 しかしこの二大傑作を最後にこのジャンルは消滅し、ミュージカルも1960年代後半には衰退した。ハリウッドのミュージカル、MGMミュージカルのオアージュとしてフランスでジャック・ドゥミが『ロシュフォールの恋人』という名作を作ったが、多分それが最後になった。

 そうしたミュージカルの終焉期であれば、この歌って踊ってを必然化する話はありだったかもしれない。しかしだ、わざわざ21世紀にあってこの設定はとてつもなく古さを感じさせる。ましてや本場アメリカでは『ラ・ラ・ランド』という傑作ミュージカルが生まれているのだから。

 なのでこの映画は基本ミュージカル映画として観てはいけないのかもしれない。これは矢口史靖のコメディである。自分は映画の最初の15分くらいで自分にそう言い聞かせて気持ちを切り替えた。これはミュージカル映画ではない。

 そう割り切ってみると、いつもの矢口のドタバタ映画である。そうだな『秘密の花園』とかに近い。ロードムービーの要素もあり、女同士の友情ありで、主人公たちの自分探しの物語でもある。

 そうだこの映画にはミュージカル映画に必要な恋愛がないのである。歌って踊って女の友情である。これが根本的な間違いなのかもしれない。やはりミュージカルには恋愛が、ボーイ・ミーツ・ガールがなければならない。

 俳優陣はというと主役の三吉彩佳はスラっとしてダンス・ナンバーもそれなりにこなすが歌は今一つの印象だ。新進のモデル、女優で、元アイドルなのだとか。基本、美人であり雰囲気もある。もう少しダンスを頑張ればシド・チャリシーを目指せるのにとか一瞬思ったが、シド・チャリシーはドタバタはやらない。

 そしてだ、映画の狂言回しでもある老催眠術師約の宝田明だが、懐かしいし、彼が怪獣映画だけではなく、往年の東宝の二枚目スターであり、ミュージカルも多数こなしているのはわかるけどやっぱり85歳はちとしんどいか。この役はキーにもなるし、出来ればもっと踊れる老人をもってくるべきではないかと思う。そう踊って主人公をエスコートするようなタイプだ。そうすればヒロインを催眠術にかける場面もミュージカルナンバーになったのではないかと思う。

 自分のイメージでは完全に晩年のフレッド・アステアジーン・ケリーあたりなんだが、日本だとそういうミュージカル・スターはいないな。思いつくのは篠原涼子のだんなの市村正親とか松本幸四郎じゃなくて白鸚あたりだろうか。彼らなら色気もあるし、ダンスナンバーもこなせそうな気がする。まあ出演料的にどうか微妙なところもあるけど。

 観終わって、子どもの感想はどうかと顔を見るとどうにも不満そうな感じだ。主人公の演技とか踊りがちょっと見ていられないような感じだったとか。そのうえで、ミュージカルというよりもコメディ色が強いので、この役はキレイな娘よりももう少し演技にふった方がいいみたいなことを言い出した。

「この役は高畑充希だと思う。彼女ならミュージカルの経験豊富だしうってつけ」

 なるほど言われてみると本当にその通りだと思う。彼女なら歌って踊って、おまけにドタバタもうまくこなしてくれただろう。もしかしたら彼女の代表作になったかもしれない。

 まあいろいろと注文がつけたくなる映画ではあるのだが、それなりに面白かったということは付け加えておく。矢口史靖の映画だし。

The Barberettes vol.2

 

Vol 2 [the Barberettes]

Vol 2 [the Barberettes]

 

  韓国のガールズ・コーラス・グループ、バーバレッツが2016年に出した2枚目のアルバムだ。彼女たちのことは最初のアルバムを聴いた時にけっこういろいろ書いた。ファーストアルバムは2014年に出ているのだが、自分が聴いたのは2015年くらいだったか。

The Barberettes (バーバレッツ) - トムジィの日常雑記

The Barberettes バーバレッツ)拾遺 - トムジィの日常雑記

The Barberettes (バーバレッツ)追補 - トムジィの日常雑記

 基本はオールディーズというよりも、それよりも古いバーバーショップ・スタイルをベースにしていて「ロリポップ」を歌ったコーデッツあたりから入った音楽性という。このへんはリーダーのアン・シネの趣向なのかもしれない。さらにYouTubeでライブパフォーマンスを観ると、カントリーっぽいものあり、ジャズテイストでマンハッタン・トランスファー風味あったりとなかなか楽しい。

 そして今回のセカンドの印象はというと、なんというか少しモータウンサウンドというか、R&B的アイドル路線みたいな印象がある。ソウル風味のあるダンスナンバーみたいな感じだろうか。

 2曲目の「Love Shoes」なんかを見ていると、どことなくジャクソン5みたいな感じもない訳でもない。なんとも楽しいポップスだ。


[subtitles] 바버렛츠 The Barberettes - Love Shoes (feat. Stuart Zender)

 そしてこのアルバムでは一番気に入ったのは8曲目「If you love me」。このグループの魅力、コーラスワークの力が明確に出ていると思う。


The Barberettes - If You Love Me (사랑한다면) (Audio)

 この後もう1枚「バーバレッツの四季」というCDが出ているらしいので、そのうちポチっとするかもしれない。日本にあまり情報が入ってこないのと、ハングルはまったくわからないのでよくわからないのだが、これまで3人で活動してきたグループなのだが、どうも結成時から活動していたパク・ソヒが脱退して現在はデュオとして活動しているみたい。

 結成から2年くらいでメンバーの入れ替わりがあったらしいのだが、現在は2人。なんとなくリーダー格のアン・シネ中心のユニットみたいな感じになっているのだろうか。まあ最初からこのグループはアンの個性と趣向で成立しているような感じもする。出来れば長く続いて欲しいと思う。

 YouTubeで探したら多分最近のものだと思うがデュオの画像があった。これはこれでいいんだけど、やっぱり3ピースの方がいいとは思う。 


쿨룩 LIVE ▷ 바버렛츠 (The Barberettes) 'Shoo' /190424[설레는 밤 김예원입니다]

  こっちは3人での多分PVだと思う。


바버렛츠 The Barberettes - Shoo [Official Music Video]

東京富士美術館〜山本二三展

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 久々、東京富士美術館へ来た。ここは夏休み時期は割と子ども向けの展示をやる。その企画展によってはちょっと避けるみたいなこともないでもないんだが、去年のリンドグレーンのピッピ展、その前はプリンセス展とかだったか、まあけっこう通っている。まあ車だと30分くらいで比較的近いということもあるからだ。

 そして今回の企画展は山本二三展である。

 アニメファンには申し訳ないけど、山本二三って誰みたいな感じ。正直知らない。解説を読むと宮崎駿高畑勲らと共に活躍してきたアニメーターなのだとか。主に背景画や美術監督として日本アニメのクォリティを支えてきた人なのだと。

 彼が手がけた作品群を見るともうなるほど、なるほどと思う部分もある。ジブリ作品の中でも芸術性が高いとされる「ラピュタ」や「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ほたるの墓」などの背景、美術監督を務めている。

 そのアニメ作品の場面、風景等が原画(アニメ的にいうのか?)として展示されている。それらは本当に細部にわたる精密さ、リアリズムと審美性が溢れている。

 思えば日本アニメをクォリティを高めたのは、手塚治虫ジブリ宮崎駿高畑勲等等である。ただの動く紙芝居に等しかったアニメをストーリィ性、作画技術、動きやカットごとの美しさなどなど、映画としての完成度を高めていく過程が70年代から90年くらいまで続いていたのだと思う。

 ディズニー映画に親しんできた者からすると、子どもの頃でも国産の東映アニメとかの動きのなさとかにはやっぱり限界を感じていた。劇場で一人で観た『ジャングル・ブック』の背景の美しさに、やっぱりディズニーはすごいと感じたのは多分小学生の高学年だったか。

 そう日本アニメは20世紀は草創期であり、じょじょに品質を高めていく時期だったのだろう。最近の新海アニメなどはそうした歴史の上に成り立っているのだろうと思う。

 山本二三に戻る。彼が高畑勲と組んだのは1981年の『じゃりン子チエ』だという。実はこの劇場版アニメは観ていない。コミックの方はずっと愛読していた。まだ本棚に全巻揃っている。試みに第1巻を出してみると昭和54年5月初版とある。1979年のことだ。そして最終巻67巻はというと1997年12月。やれやれもう完結して22年の月日が経つのだ。そして1997年は子どもが生まれた年でもあり、自分は多分41とかそういう歳の頃だ。

 月日の経つのは早いということ。『じゃりン子チエ』を読み出したのは確か井上ひさしが朝日で文芸時評を書いていて、その中でこの大阪の下町を舞台にした人情ギャグ漫画を取り上げたからだったように覚えている。

 話は脱線である。山本二三の『じゃりン子チエ』の背景画はきわめて映画的である。書き割り調を配し、リアルな街並みを仰角、俯瞰とテクニックを駆使して美しく描いている。アニメとしてキャラクターを動かすために、あえて背景をリアルに、かつ奥行きをみせているような背景画を描いている。

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 なので今度TSUTAYAあたりで『じゃりン子チエ』のアニメを探してこようと思う。それにしても原作コミックが終了してもう22年になるのかと思うと泣ける。足かけ18年の連載(アクションだったか)、それを毎号買い、コミックを毎回買い続けていたのだ。大学の4年から41歳になるまで。なにか泣けてもくるし、思わず笑ってしまうことでもある。なんとなく山本二三が消えてしまった感がある。

夏野菜料理など

 友人が週末田舎で農業をやっている。夏の間、二週間に一度くらいの割合で野菜を送ってくれるので、ちょっとばかり気合いをいれて夏野菜料理みたいなことをやってみた。

 まずは野菜たっぷりのキーマカレー。大型の玉ねぎの2個みじん切りに、これにナスをこっちも細かくして、ひき肉と炒め煮してカレールーを入れるだけ。あとは人参とかピーマンとかけっこういろいろなものを入れた。キーマカレーにしたのは、こっちの方が細かくする分いろんな野菜が入るからか。

 あとはあまり日持ちしないだろうと思ったので大量の枝豆を茹でた。やっぱり取れたてなんでこれもいける。

 さらに大量に送ってくれたじゃがいもなんで、考えつくのはやっぱりポテトサラダ。チョリソーと枝豆を入れて、生クリームも使ってみた。まあまあイケた。

 最後にナスとピーマンとウィンナーで簡単に野菜炒め。3〜4品作ったらけっこう疲れてしまった。

 

映画『ひろしま』と丸木位里

 昨晩、NHKEテレで映画『ひろしま』をやっていた。子どもと二人で観たのだが、なんとも衝撃的だった。

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NHKドキュメンタリー - 映画「ひろしま」<スタンダードサイズ>

ひろしま - Wikipedia

 原爆投下から7年後に広島の地で撮影され、広島市民8万人が撮影に参加したという。まさに被爆地だからこそ描くことができた被曝の実相である。

 日教組が制作し、制作費は全国の教員のカンパによってまかなわれたという。まさに教え子を戦場に送るなの精神が具現化されたともいうべき。日教組は日本の民主主義のフロントにいたのだと思うし、昨今の教育の荒廃、教員の過重労働は日教組の弱体化の影響が大きいと自分は思っている。

 しかし比較的映画を観ているはずの自分が、この映画の存在を実は知らなかった。実際のところそういう映画があることする知らないでいた。なぜか、時代的には朝鮮戦争の頃で、配給会社の松竹が反米色が強いということで配給を拒否した。教育映画として学校での上映も各地の教育委員会で反対され見送られた。

 様々な理由で各地での小さな上映会以外はほとんど上映されなかったという。まずは敗戦日本にとって戦勝国かつ事実上の宗主国アメリカの原爆投下を批判するものが上映されるのが憚れる、今風にいえばアメリカに忖度した理由が一番だろう。

 そして多分、原水爆禁止運動も共産党系、社会党系に分裂し、熾烈なヘゲモニー争いが始まる頃である。そうした中でこの映画の上映にとってはよくない環境が続いたのだろう。

 映画は究極のリアリズムで、被曝の有り様をこれでもかこれでもか描いている。この映画は録画したので、再見のうえでいろいろと書きたいとは思う。とにかく凄まじい映画である。

 そしてこの映画を観た衝撃、影響、諸々から、今日は東松山丸木位里の美術館を訪れた。

丸木美術館−丸木夫妻略歴と館史

 家から割と近いこともあり、何度か訪れているのだが、『原爆の図』本当に衝撃的だ。写真や映像では伝えきれないような悲惨さ、被曝の真実が芸術家の手により、見事に描き出されている。

 ほとんどすべての作品が四曲一双の屏風画なのは、もともと丸木位里水墨画を中心とした日本画家だからか。墨一色の作品が多い中、何点かは鮮やかな朱=赤が使われている。これは妻俊が洋画家であることの影響だろうか。ほとんどの作品が共作であるということだが、屏風画でありながらどことなく西洋画、特に宗教画を思わせるものがある。

 いつもはその凄惨な作品に目を奪われてしまうのだが、今回はなんとなく構図や表現みたいなものになんとなく目がいくような気もしないでもない。

 そうした点ではこの二つにみょうに心が動かされた。

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少年少女

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  構図、構成が秀逸でたしかにどことなく宗教画のような趣がある。鎮魂とでもいうのだろうか。